25歳か26歳くらいの頃、私はバンジージャンプをした。

 

 

当時読み漁っていた女性起業家の自己啓発本の中に

「バンジージャンプを飛ぶと良い」

みたいなことが書かれていたのを鵜吞みにしたのだ。

 

 

仕事も現実も嫌で仕方なかった私は、

とにかく行動至上主義で自分の気持ちを全無視していた

と言っても過言ではない。

 

 

この本に書いてあることをひとつでも実践したら、

私は変われるんだ。

そう本気で信じていたのである。

 

 

バンジージャンプをするためだけに車を走らせ、

片道1時間以上もかけて他県の遊園地へ出かけた。

 

 

20代の女が1人、バンジージャンプの列に並んでいるのだ

違和感は半端じゃなかったと思う。

 

 

だけど私は気にしなかった。


これで人生を変えてやるー

 

と本気で思っていた。

 

 

誓約書を書かされた時も、死ぬ可能性があること

と書面で確認したがそんなことはどうでも良かった。

 

 

だって私は現実を変えるために来てるのだから。

 

 

バンジージャンプの飛び方は2種類あり、

自分で飛び方を選ぶことができた。

 

 

1つは正面から飛び込む方法、

もう1つは後ろ向きに飛ぶ方法。

 

 

私は後ろ向きの方が怖かったので

正面から飛び込んだが、

怖さは変わらなかった。

 

 

確か3分か5分以内に飛び込まないとリタイアになったと思う。

 

 

が私は迷わず飛び込んだ。

現実を変えるために。

 

 

飛び込んだ瞬間、一気に頭の血の気が引き

全ての世界がスローモーションのように見えた。

 

 

そして死ぬ、という強烈な恐怖に支配されるともに

今までの怒りや不安などが押し寄せてきて

私の感情はぐちゃぐちゃになった。

 

 

飛びながら自分は生きているという安心感。

 

 

バンジージャンプを飛ぶというミッションを成し得た達成感。

 

 

色んな感情があふれて涙が出た。

 

 

周りはどう思っただろう。構うものか。

 

 

バンジージャンプを飛んだ私は、少し休んだ後

すぐさま遊園地を後にした。

 

 

バンジージャンプを飛んだのだから、

この遊園地にもう用はない。

 

 

日常に戻った私は、もう何でもできるような気がしていた。

 

 

ちょうど仕事を辞めたいと思っていた時で、

嫌な先輩に翻弄されていた頃でもあったが

その時の私は無敵だった。

 

 

周りに何を言われようが何をされようが知るものか。

死ぬかもしれないという強烈な体験をした私は、

日常が本当に小さな小さな世界のように思えたのだ。

 

 

その数か月後くらいに私は転職をしたが、

結局現実に翻弄されるのは変わらなかった。

 

 

当たり前だ、バンジージャンプで人生が変わるのなら

バンジージャンプを習慣にする人だっているかもしれない。

 

 

それは大げさだとして、

あの頃の私と話せるのなら言ってあげたい。

 

 

自分が変わらないと世界は変わらないんだよ。

自分が自分をどう思うかが全てなんだよ。

あなたは何をしてもしなくても、

現実に何が起こっても起こらなくても、

とんでもない価値と可能性があるんだよ。

 

 

ということを。

 

 

あの頃の経験が無駄だったとは決して思っていない。

 

 

だが、あの頃よりも今の方が私ははるかに幸せだ。

 

 

今のところ自分の理想の現実とは言えないが、

自分にとっての幸せを知っているし

自分の心と向き合うこともできていると思う。

 

 

やっぱり、1番大切なのは自分の内側。

そして自分のとんでもない価値と可能性に気付くこと。

 

 

これが、今の私が信じて言えることだ。