ロシアがウクライナに侵攻するのか?緊迫してますねー。
しかし、数年前のロシアのクリミア併合にせよ、今回のウクライナ侵攻にせよ、そんなことしたってロシアにはなんの得もないのです。
なにせウクライナは貧乏国。地下資源も産業もない。この国を併合しても、ロシアの利益は何もなく、逆に支出が増える。それでもウクライナを攻めるのは、「もともとここはロシア人の土地だ」とか「ウクライナがNATOに接近してロシアの安全保障を脅かす、生意気だ、俺たちはNATOなんかに舐められたままじゃいないよ」みたいな男のプライド、によるものです。
もちろん、ロシアにも、冷静に国益を考えてそんなくだらん事は止めよう、という人もいるはずです。しかしロシアはプーチンの独裁国家。そして独裁者プーチンを支持し支えてきたのは、プーチンの反対派の粛清とか人権弾圧を支持してきた「強いロシア」を標榜する保守強硬派。この強硬派が「生意気なウクライナなんかぶっ潰せ」と叫んでいるのに、プーチンが「まぁまぁ、ここは冷静に」とは言えないのです。そんなこと言ったら、自分の支持基盤の強硬派が「プーチンは弱腰になった」としてプーチンから離れる可能性がある。もっとより強硬派の政治家を支持し始める可能性が出てきます。そうなるとプーチン独裁が危うくなる。
権力から滑り落ちた独裁者の末路は、間違いなく牢獄です。これは歴史が証明している。プーチンは死ぬまで独裁者でなければ「まともな死に方は出来ない」のです。
だからこそ、なんの利益もない「ウクライナ侵攻」をやらざるを得ない。強硬派の支持を手離さないために、最も強硬な独裁者であり続けるしかないのです。

中国も一緒です。中国は、かつての毛沢東独裁がもたらした文化大革命が国をメチャクチャにした反省から、集団指導体制を取り、国家主席も任期制にした。しかし、習近平はそれを全部ひっくり返し、国家主席の任期制をやめて、自分の終身独裁体制を築き上げた。
この習近平を支え、支持しているのは、やはり強い中国を標榜する強硬派。
ウイグルの「虐殺」とまで言われる、宗教弾圧としてはかつての日本の過酷なキリシタン弾圧をも超えているイスラム教徒弾圧も、なにもあそこまでやる必要はないのです。しかし、「中国にイスラム教徒はいらない」と考える保守強硬派が行おうとする過酷な民族浄化を、習近平は止められない。もし習近平が弾圧を緩めるよう強硬派に指示するようなことがあれば、強硬派は反発し、最もコアな自分の支持基盤を敵に回すことになる。その小さな権力の綻びが、習近平の独裁者から追い落とすきっかけになりかねない。
独裁のために反対派を粛清してきた独裁者は、死ぬまで独裁者で無ければろくな死に方は出来ない。これが現実です。だからこそ、習近平は最も強硬な独裁者であり続けなければならないのです。
これが独裁者の末路。
醜い欲望の末路。恐ろしい事です。