私、証拠持ってるんだけど。
そう言い放った
私の言葉に反応して
しっかり起きた夫。
もう、
これは絶対何かあると
私は思った。
そこから先は
出任せで
私はこう続けた。
わたし、
全部知ってるんだけど。
今日も女のところ行ってたよね。
〇〇(子供の名前)を
一日中置いて。
今まで気づかなかったと思う?
探偵に頼んで
写真もあるよ。
えっ?探偵?
そうだよ。
近所の〇〇って会社。
知らない?
昔テレビで特集されてたから覚えてて、
そこで頼んだの。
だって、
怪しかったんだもん。
※嘘だった。
昔テレビで見た
探偵会社の名前が咄嗟に出た。
は?証拠?
そう、写真あるよ。
全部撮られてるよ。
写真は
私の車の中に入ってる。
私も顔写真はまだ確かめてない。
今から外出て取ってこようか?
誰か確かめる。
※わざと、
すぐに写真を出さなくて良いように、
離れた車の中にあると言った。
夫は無言で
見た事のない表情になった。
何を考えているのか、分からない。
読めない。
しばらく沈黙の時間が流れた。
私は何も考えられず、
ただじっとしていた。
昨日までの暮らしには
もう、
戻れないのかな。
そんなことが浮かんできた。
長い沈黙を破って
夫が言った。
・・別れる
別れる???
夫が、確かに小声でそう言った。
やっぱり女性が居たんだ
私は一瞬で
遠い世界にワープした感じがした。
もうここは
私の知っている
我が家ではないし、
目の前の人は
夫の姿をしているけど
夫ではない、別人。
宇宙人か
他人のように感じた。
この日から
積み上げてきたと思っていた
私たち夫婦の歴史は
仲良し夫婦だと思ってきた思い出は
粉々に壊れた。

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