人はいつから、自分の人生の主役を降りてしまうのだろう。

そんなことを、よく考えます。

 

誰かに嫌われないように。
批判されないように。
迷惑をかけないように。
ちゃんとしている人だと思われるように。

 

親に心配をかけないように。
職場で浮かないように。
家庭の中で波風を立てないように。

 

そうやって毎日をなんとか回しているうちに、ふと、

 

「あれ、わたしは本当はどうしたかったんだろう」

 

と、自分の気持ちが見えなくなってしまうことがあります。

 

これは、特別に弱い人の話ではないと思っています。

むしろ、一生懸命に生きてきた人ほど、そうなってしまうことがある。

 

誰かを大切にしようとして。
責任を果たそうとして。
ちゃんとしようとして。

 

気づいたら、自分の人生なのに、自分が少し後ろの方に下がっている。

 

わたし自身にも、そういう時期がありました。

いや、今も、ないとは言えません。

 

正しく伝えられているだろうか。
誤解されないだろうか。
こんなことを言っていいのだろうか。

 

そんなふうに考えているうちに、自分の真ん中にある声が、

だんだん小さくなっていくことがあります。

 

だから、「自分が主役の人生を生きる」ということは、とても難しいことだと実感しています。

 

自分が主役の人生を生きるというのは、

自分が納得できる生き方をすること。

 

それは、自分をあきらめないということ。

自分をあきらめないというのは、

たぶん、

自分の中にある小さな声を、なかったことにしないことなのだと思います。

 

好き勝手に生きることではなくて、

誰かを傷つけてもいいということでもなくて。

 

本当は苦しい。
本当は嫌だった。
本当はこうしたかった。

 

そんな声を、自分だけは聞いてあげることなのだと思います。

でも、それができない人もたくさんいます。

 

言えないまま、笑っている人がいます。

苦しいのに、「大丈夫です」と言ってしまう人がいます。

誰かと比べて、「わたしなんて……」と、諦めてしまう人がいます。

 

自分のことを後回しにしすぎて、

何が好きだったのか、何が嫌だったのかすら、

わからなくなってしまう人がいます。

 

そして中には、

自分が自分であることそのものを否定されながら生きている人もいます。

 

マイノリティとして生きる人たちの中には、

誰にも言えないまま、ずっと自分を責めてきた人がいます。

 

どうして普通に生まれてこなかったんだろう。

 

そんなふうに思いながら、

消えてしまいたいほどの苦しみを抱えてきた人を、わたしは何人も知っています。

 

大人がSNSで、簡単に差別的な言葉を投げつける。

笑いながら。
冗談みたいに。
誰かの存在を否定する。

 

大人でも苦しい。

 

だから、それを見ている子どもたちは、

もっと苦しく感じることもあるのではないかと思うのです。

 

自分のことを、ますます言えなくなる子もいるのではないか。
自分はここにいてはいけないのだと、思ってしまう子もいるのではないか。

 

そういうことを考えると、胸が苦しくなります。

 

社会の問題というのは、どこか遠くにある大きな話ではなくて、

誰か一人が、自分のままで生きていてもいいと思えるかどうか。

そこにあるのではないかと思います。

 

自分と違う誰かを、すぐに決めつけないこと。

わからないからこそ、少し想像してみること。

何気ない言葉で、誰かの逃げ場を奪わないこと。

 

それは、とても小さなことのようで、

でも、人が生きていくうえで本当に大切なことだと思うのです。

 

わたしは、舞台でそのことを伝えたいのです。

 

正しい答えを渡したいわけではありません。

「こう生きるべきです」と言いたいわけでもありません。

 

わたし自身、迷っています。

人の目も気になるし、傷つくこともあるし、

自分の人生の主役でいたいと思いながら、

気づいたらまた誰かの顔色を見ていることもあります。

 

それでも、諦めたくないのです。

 

あなたがあなたでいることを。
わたしがわたしでいることを。

 

誰かの期待や、役割や、世間のものさしに合わせすぎて、

自分の人生を、知らないうちに明け渡してしまわないことを。

 

7月11日(土)に上演する「旅立ちの詩〜彼女たちの羅針盤〜」は、そういう問いを抱えた作品です。

 

人生の中で迷い、傷つき、自分を否定したり、

誰かの期待の中で生きてきた女性たちが、

もう一度、自分の人生の羅針盤を取り戻していく物語です。

 

これは、強い人が強く生きる物語ではありません。

弱さも、迷いも、傷も抱えたまま、それでももう一度、自分の足で立とうとする人たちの物語です。

 

わたしが2018年に初めて一人芝居として挑戦した、大切な作品でもあります。

わたしが一人芝居で最初に深く向き合ったのは、日常の中にある痛みでした。

 

自分の尊厳が、じわじわと削られていく感覚。
自分の人生なのに、自分がいない感覚。
そこから、どうやって自分を取り戻していくのか。

 

この問いは、今もわたしの中にあります。

完全に答えが出たわけではありません。

だからこそ、舞台に立つのだと思います。

 

同じように迷っている誰かと、その問いを一緒に抱えるために。

 

今、この作品を必要としてくださる方が、きっといるのではないかと思っています。

 

自分の人生を、あきらめそうになっている人。
本当はしんどいのに、大丈夫なふりをしてきた人。
一歩を踏み出す背中を押してほしい人。
誰かの苦しみに、少しでも寄り添いたいと思ってくださる人。

 

ご都合が合いましたら、ぜひ受け取りにいらしてください。

 

谷ノ上朋美一人芝居
「旅立ちの詩〜彼女たちの羅針盤〜」

 

日時:7月11日(土)
14時開場/14時30分開演

会場:大阪・新町イサオビル
Regalo Gallery&Theater

まだお席あります。

 

申し込み:こちら

 

詳細は、ホームページのスケジュールもご覧ください。

劇場でお待ちしています。

 

 

「旅立ちの詩〜彼女たちの羅針盤〜」

 

 

私の活動はこちらのホームページに

 

 

 

 

 

谷ノ上朋美ひとり芝居 作品紹介

 

 

 

「ゆんたくしましょうね。」

 

 

 

 

 

「ワタクシ、ゴト」

 

 

「人魚姫...の娘。」

 

 

 

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