遺言書って書いたことありますか?
「遺言書」という言葉は、以前よりずいぶん浸透してきたように感じます。
けれど実際に書いたことがある人は、まだそれほど多くないと言われています。
一方で、欧米では遺言書を残すことが比較的一般的で、自分の意思を家族に伝える手段の一つとして考えられているそうです。
実際、終活セミナーの中で「遺言書を書いてみましょう」というワークショップが行われることもありますが、かたくなに書かない方もいらっしゃいます。
「終活には興味があるけれど、遺言書は自分には必要ない」
「なんとなく縁起が悪い気がする」
「まだ早い気がする」
人それぞれ、遺言書に対するイメージがあるのだと思います。
遺言書は“遺書”ではありません
遺言書は英語で「Will」。
“意思”という意味があります。
ですから、書かないという選択をするのも自由です。
実際、遺言書が必要ないケースもあります。
ただ、知っておいていただきたいのは、遺言書は「遺書」とは別物だということです。
遺書は、自ら死に向かう前に想いを書き残すもの。
一方、遺言書は「自分の財産を誰にどのように託したいか」を示す、法的な意思表示です。
一文字違いなので、「遺書」のイメージに引っ張られて、無意識に「書きたくない」と感じてしまう方もいるかもしれません。
けれど、その人の状況によっては、遺言書が残された家族の穏やかな日常を守ることにつながる場合もあります。
だからこそまずは、遺言書の意味や役割を知っていただきたいなと思っています。
その上で、自分は書くのか、書かないのか。
自分自身の意思で選べるといいのではないでしょうか。
遺言書にできること
遺言書には、例えば次のような役割があります。
① 誰に何を渡すのかを指定する
② 配偶者居住権の設定
③ 遺贈(相続人以外へ財産を渡すこと)
④ 遺言執行者の指定
⑤ 未成年の子の後見人の指定
⑥ 非嫡出子の認知
などです。
もし遺言書がなかったら…
例えば、ご自身が亡くなった時、残される家族が「妻と息子」だったとします。
けれど息子とは長年連絡を取っておらず、財産といえば自宅くらい。
その場合、通帳の解約や不動産の名義変更など、多くの相続手続きには相続人全員の同意が必要になります。
手続きを進めるためには、署名や実印、印鑑登録証明書などを集めなければならないこともあります。
もし息子と連絡が取れなかったら。
あるいは、連絡が取れたとしても話し合いがまとまらなかったら。
場合によっては、自宅の売却を検討せざるを得ないケースもあるかもしれません。
そんな時、あなたならどう感じるでしょうか。
そして、大切な人にどんな形を残したいでしょうか。
遺言書は“想い”を伝える手段でもあります
遺言書は、単なる法律の書類ではありません。
「付言事項」といって、家族へのメッセージを書き添える方もいらっしゃいます。
付言事項には法的拘束力はありません。
けれど、その言葉があることで、家族の納得や安心につながることがあります。
想いのこもった言葉が、残された人の支えになることもあるのです。
まずは“考えてみる”ことから
遺言書は、一度書いたら絶対に変えられないものではありません。
あとから撤回したり、書き直したりすることもできます。
だからこそ、まずは気楽な気持ちで考えてみるのも一つです。
「もし自分が書くとしたら、どんなことを書くかな?」
そんな風に想像してみるところから始めてみてもいいのかもしれませんね。
