私が子供のころ、両親と妹と弟の5人家族だった。
今から考えてみると、両親はあまり愛情表現が得意でなかったのかと、
そう思えるぐらい子供たちをかわいがってくれなかったような気がする。
もちろん自分の子供はどんな親でもかわいいはず、
そう思ってはみるけれど、普通にいろんなところに連れて行ってもらったし、
ちゃんと学校も出してもらったし、お稽古事もさせてもらったし・・・。
だけど、〇〇ちゃん大好きだよって言ってもらった記憶がない。
ハグされた記憶もあまりない。
弟は男の子っていうこともあって、両親から大事にされてたような、
そんなところに私はちょっと嫉妬もしていたけど。
昔の人だからかな、あまり愛情表現を見せないっていうのは、
と自分で勝手に解釈して不満な気持ちをずっと押し込めてきた。
それから大人になって、自分にも子供ができ家族ができ、
ずっと奥にしまっていた昔の気持ちがふっと現れた。
子供ってこんなにかわいいのに、なぜ両親は抱きしめてくれなかったのか。
大好きだよって言葉をかけてくれなかったのか。
きっとその反動なのかもしれないけれど、
小さなときはもちろん子供たちが大人になってからも、
抱きしめて大好きって言葉を伝えてる。
反抗期のころは嫌がっていたけど、その時期を越えたら、
彼女や彼なりに受け止めてくれている、気恥ずかしそうにだけど。
「お母さんは、かわいそうな子供だったんだね」
ある時次女がそういって私を見た。
「いや、きっとかわいそうなのはおじいちゃんとおばあちゃんだったのかもね。
こんなに楽しい人生を送れたかもしれないのにね。」