原爆の絵本 「まちんと」を読んだ日 | Smile the First 店長日記

8月6日。私たち日本人が8月9日とならんで、日本のこどもたちに、そして、世界に、代々語り継いでいく原爆の日。


東日本大震災のあと、初めて迎える原爆の日は、感じ方も少し変わったように思います。


原爆が投下された昭和20年。当時0歳児だった両親。乳幼児を抱えて戦後を生きた祖父母の苦労は想像するに余りあります。


そして私がうまれたころに各地での原爆にまつわる取材がつづけられ、のちに生まれた絵本が「まちんと」です。

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(画像 松谷みよ子さん公式HP よりお借りしました)


「まちんと」とは、「もうちょっと」という意味です。広島弁をまじえながら詩のようにつづられる松谷みよ子さんの言葉に、司 修さんの絵がぴたりと重なって、今でも少女が鳥になって飛んでいる情景がすうっと心に入ってきます。


恐怖感だけを強烈に残す凄惨な映像よりも、罪なく命を奪われた人々への追悼の念を抱かせ、戦争はしたくない、と自然に心から思う、そんな絵本です。原爆が題材ですから、とても悲しい絵本です。



この絵本が出版された1983年の8月。私は高校1年でした。9つ違いで、当時、幼稚園の年長だった妹にこの「まちんと」を読みました。読み終わると、妹は無言でぽろぽろと大粒の涙をこぼしました。はっとして、とてもわるいことをしてしまったと苦い気持ちになると同時に、6歳の妹のなかにたくさんの感情が育っていることに感動したことをおぼえています。


まちんとを読んだ夏から27年が過ぎて、妹はこの8月の末に、アメリカで母になります。


罪のない子供たちが、戦争によって命や希望を奪われることのない世界になることを願ってやみません。