日中は夏の暑さを思い出させる気温になりましたが、今日もご来店くださったお客様に心から御礼申し上げます。本当にありがとうございました。夕方から過ごしやすくなり、閉店時間を過ぎた現在では、店内にいても虫の声が聞こえてきます。皆様今夜は寝冷えなどされませんようお気をつけください。
毎朝、ザ・まさる父または母が送ってくれる車で、田畑に挟まれた「日の出通り」を通って出勤するのですが、一面の稲の色に毎日季節を感じます。春は植えられたばかりの苗のきみどり色が美しくて、車の窓をあけて息を吸うと、きれいな空気が胸いっぱいに入ってくるようでした。夏の仕事帰りは、青々と伸びた稲のむこうに大きな夕日が沈むのを何度も見ました。そして、月日はあっという間に、本当に、あっという間に過ぎて、もう稲刈りが始まり、秋を感じる今日このごろです。
独身のころに較べると自分の時間は激減しましたが、お洋服を扱う仕事や、思い出づくりをかねた子供との年中行事をとおして、季節を感じることがずっとずっと増えました。四季のある国に生まれて、食べ物も、お洋服も、インテリアも、季節の旬を取り入れることは、とても文化的なことで、心を豊かにしてくれるように思います。
ザ・まさる父のあおむしを慈しむ夏は、まだまだ終わりません。久しぶりに手作り観察箱をのぞいてみて、悲鳴をあげました。サナギが30はいます。なるほど、父がイタリアンパセリ、イタリアンパセリといいながら、暑い夏の日に、あちこちのホームセンターを渡り歩いていたはずです。驚愕の食欲のあおむし、30匹もいたら、観察箱いっぱいに入れたイタリアンパセリも一晩で葉無しですから。
悲しいことに、羽化してみると羽がひろがらない蝶がいました。父は毎日その蝶を手のひらにのせ、声をかけながら蜜を吸わせます。「今日も長い舌のばして楽しそうに蜜をあっち挿し、こっち挿し、しとったで」と笑う父。羽のない蝶は、軒下の雨があたらない場所に、ふたをあけた大きな透明の虫かごの中で、すでに10日を過ごしています。元気に飛び立った蝶も、屋根の上でひらひらと2、3回円を描くと、名残を惜しむかのように、父のところに戻ってきて、帽子にとまり、父がそっと手を伸ばすと、その手にうつってきたりします。その光景は映画のワンシーンのよう。「命って尊いもんやな」という父の言葉は主人公の名台詞といったところです。そして嬉しそうに父が指差す先には、またまた、キアゲハのたまごが。う~ん、父の夏はいつまで続く。。。