きのうは8月15日、日本では終戦記念日。そして、日本だけでなく、アジアの様々な国の人々にとって特別な日でした。
この日、バングラデシュではボンゴ・ボンドゥ(ベンガルの友)の愛称で親しまれた建国の英雄、シェイク・ムジブル・ラーマンが家族らと共に暗殺された命日でした。暗殺事件があったのは1975年。それから32年がたちました。
バングラデシュではこの日は追悼の日です。テレビは独立の頃の白黒映像のオンパレード。在りし日のボンゴ・ボンドゥが力強く演説する姿や、凶弾に倒れたあとの姿、独立に沸く当時のバングラデシュの人々の姿などが繰り返し映し出されていました。
(ちなみに海外にいて暗殺を免れた家族のひとり、アワミ連盟党首のシェイク・ハシナ前首相は、国会議事堂敷地内の建物で暫定政権による軟禁状態が続いています。父の命日、彼女は断食をし、もうひとり生き残った妹に電話しようとしたけれど許可が下りなかったそうです。こういう話が報道されると同情する人も多いでしょう。)
一方、バングラデシュが独立する前はその一部だったパキスタンは、独立記念日が8月14日。これは1947年のことなので、ちょうど今年は60周年です。英植民地支配からパキスタンと同時に独立したインドは独立記念日が1日違いの8月15日。日本の終戦のちょうど2年後です。
ダッカの我が家のテレビではケーブルTVで何十ものチャンネルが見られます。ほとんどはバングラデシュとインドの番組ですが、CNN、BBC、NHKワールド、そして中国の国際放送であるCCTV、韓国の国際放送のArirang TVなども見ることができます。
昨夜、私はチャンネルを何度も切り替えながら、アジアの国々の8月15日の番組を見ていました。中国のCCTVでは「8月15日と靖国」という長い特別番組をやっていて、様々な専門家が日本の政治の動向やナショナリズムの今後の行方について真剣に議論していました。
韓国のArirang TVでは、戦時中当時のソ連に強制移住させられ、戦後もそのまま取り残された韓国人のお年寄りを韓国の高校生が訪ね、共にシベリア鉄道に乗りながら、当時の話を聞く、というドキュメンタリー。歴史を自分たちが語り継がなければ、と話す韓国の高校生たちの真面目さが心に残りました。
インドはというと歌番組の端っこに「60」を中央に記したインド国旗のマークが翻っていたりしてお祭りムードの一方、独立記念日前後のテロを警戒して厳戒態勢の様子がニュースで流れていました。
日本にいるとテレビを見ても日本の8月15日以外あまり見えないのですが、ここにいるとべつの8月15日をTVで見、他の国の人々の気持ちにも思いを馳せることができます。以前は映っていたインドネシアのTVなど、東南アジアの放送は最近入らないのが残念。そういえば太平洋戦争の終結を受けて独立を宣言したインドネシアの独立記念日は明日、8月17日でした。
さまざまな記念日が奇しくも偶然に重なった日、8月15日。記念日の内容は違えども、この日はアジアの多くの人々にとって、自国の歴史と死者を想い、痛みを伴う記憶を蘇らせる日です。
(ダッカ駐在員 藤岡恵美子)