爆笑問題、太田さんの小説第二弾、文明の子。
短編が22個も入っていて、連鎖していく。
太田さんの文章は、やさしく、痛い。
ポカリスエットのように、サラリと入ってくるが、体に入ると爆発するような感じ。
前作「幻の鳥」も大好きだったが、更に好き。
サザンの名作「世に万葉の花が咲くなり」を聞いた時のような。
細かい内容は言わないが、「出来そこないのヒーロー」と「ダーウィン」という話。
この二つは涙がグっと出そうになった。
特にダーウィンは、感動させようという話ではないのかもしれない。
ダーウィンはネズミの話。かなり短い話だ。
だけど、最後の、オチで、グサっと刺されるんだよな。
こういう作品がちゃんと賞を取ってほしい。
太田さんの小説の何がすごいって、最高の寓話。童話。
0の世界を作り出してくれる。
今、身のまわりにあるかもしれない物語・・・ではなくて、0から世界を作ってくれ
る。
だから、浸れる。
心地よい。
是非、読んで欲しい。
僕が中学の頃にこの本と出会っていたら、本がもっと好きになれたかも。
この本の中に、「栄光の夜」という話がある。
これも凄く好き。
とある女性ジャズ歌手。
人生の終わりが近づいた歌手。
そこに、天使がやってくる。
天使は言う「どこでもあなたの人生の好きな時間に一度だけ戻してあげましょう」
これは神の作ったシステム。
自分が過ごしてきた一番好きな時間に戻って、そこにいる過去の自分を見ることが出来る。
ただし、話しかけてはダメ。
なんて素敵な設定!!!
ここで、ジャズ歌手は、自分の人生にとってとても大切だったある時に戻る・・
自分だったらいつに戻るか??
考える。
その時の自分を見ることが出来るんだから。
いつかな・・・。
妻と初めて出会って、その日に「結婚しよう」と言った時。
そして妻が「いいっすよ」と言った時。
あの光景を外から見たい。
それと大学辞めた時。中退するのに、学生課に行って、退学届を出して、止められることもなくあっさり受理された。
ここからは、放送作家としてがんばって生きて行かなきゃいけない!と覚悟した時。
あの時に戻って自分を見て、呟きたい。「がんばれ!」と。
さあ・・・皆さんだったら、いつの時代の自分に戻って、その時の自分を見たいですか??
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