いつもお世話になり誠にありがとうございます。

 

今週になりコロナウイルスの流行が大変な事になっていますね。

確かに爆発的な感染ですが、重症例はほとんどおらず、軽症の方が

大部分なので、あまり不安に感じる必要はないのかなと思っています。

勿論、今まで通り感染防御はしっかりし、なるべく人混みを避ける事を

守っていればそれで大丈夫なのではと考えます。今回の流行が終わると、

ほとんどの人が抗体を獲得し、収束に向かって行くのではと期待しています。

「明けない夜はない」という言葉を信じて、頑張っていきましょう!

 

さてそんな状況の中、1月16日にNPO起立性調節障害ピアネットAlice様

主催で、地元西宮で講演会をさせていただきました。準備や感染対策など

皆様のご尽力により無事に行えました事を心より感謝致します。

当日の様子は、ピアネットAlice様のブログの記事をリブログさせて

いただきましたので、併せてご覧いただいてください。

 

当日は、第1部として下竹の講演が90分、第2部として当事者の方の

体験談の討論会が60分という構成でした。

 

普段の外来ではなかなかお伝えできない事をお伝えできたかなと思っています。

当事者の方の体験談は、今までの経験や苦悩などをご自身の言葉で

語られたので、やはり重みがありました・・。今ODで悩んでおられる

当事者やご家族の方には大いに考えさせてもらえる発表だったのではないかなと

思います。

 

下竹の講演の中で、アンケートについて発表を行いました。このアンケートは

12月に1ヶ月間、当院の外来を受診された105人の方に回答いただいた物です。

本日は、その結果をご報告しますので、普段の生活の参考にしていただけましたら

幸いです。ご協力いただきました皆様、本当にありがとうございました。

 

まずODになり「体の症状」が一番しんどかったのは何月ですか?という質問です。

例えば8月と12月というように皆さんには2ヶ月を選んでいただきました。

 

結果は圧倒的に6月という回答が多かったです。

やはり梅雨の時期は気圧の変動が大きく体調が悪い日が続くという事で、

皆さんそう感じられるのかと思います。

あとは7月から12月の1年の後半がずっとしんどいという結果になりました。

ただ昨年は例年に比べちょっと特殊な気候だったかと思います。

8月中旬に豪雨が10日ほど続いたり、9月は意外と過ごしやすかったり、

10月は夏のように暑かったり、11月は急に寒くなったり・・・など。

そのような特殊な気候ではありましたが、概ね季節の変わり目には

しんどくなりやすいという通説に一致しているように思われました。

1月から5月頃はあまり体調を崩す子は多くなさそうな回答でしたが、

アンケートを実施したのが12月という事で、もしかしたら前半は

回答の選択肢として挙がりにくかったのかもしれません。

しかし普段の外来でも、概ね体調は落ち着く子は多いという印象を持っていますので

1月から5月という時期はやはり安定している子は多いと言えるかと感じています。

 

次にODになり「心の症状」が一番しんどかったのは何月ですか?という質問です。

同じように8月と12月というように皆さんには2ヶ月を選んでいただきました。

 

こちらは、4月、6月、9月が特に多いという結果になりました。

先ほどの体の症状の結果と重ねてみると、体がしんどい6月と9月はやはり

心もしんどくなるというのは納得です。更に9月は、夏休み明けという事で

生活リズムを戻さなけれないけないしんどさや、学校が始まり

頑張りたいのに頑張れないしんどさが大きいのかもしれません。

そして4月は、体の症状としてはしんどい時期ではないのですが、心はしんどくなると

答えた方が多いです。進学やクラス替えで環境が変わるしんどさや、

心機一転今年は頑張ろうと思ったのにやはり学校に行けなかったという

自己卑下的な感情からそのように思われるのかもしれないと考えています。

 

3番目の質問は、ODと診断された時、原因や治療法がわかって安心したか

それとも病気と申告されて辛かったかという質問です。

 

結果は、9割以上の方が、診断されて安心したと回答されました。

この結果は、医療従事者としては本当に嬉しかったです!

たまに、診断されてショックを受けていましたという声や、

起立性調節障害と「障害」と付く診断名が付いて落ち込んでいましたという声を

聞く事があり、もしかしたら辛いと感じる方は意外と多いかも・・と

思っていたのですが、こんなにも多くの方に安心いただけたと思っていただけて

何よりだと思っています。今まで得体の知れない様々な症状がずっと続き、

原因が分からず、周りから責められ、とても不安に思われていた中で、

ちゃんと原因や治療法が分かっただけで安心されたのでしょう。

実際、診断が付くだけで症状が改善するという事もあると聞いています。

これからも、そんな先の見えない不安を感じられている皆様に対し、

1人でも多くの方に安心してもらえるよう頑張って行きたいと思います。

 

4番目の質問は、ODになり最も嫌だった事は何ですか?という物でした。

事前に10個の選択肢を提示し、その中から3個を選んでもらいました。

 

結果は以下の通りです。

1位 毎日の体の症状

2位 勉強の遅れや焦り

3位 将来の不安や絶望

4位 周りにどう思われているかという不安

5位 毎日が有意義に過ごせないこと

6位 内服や飲水を強要されること

7位 友達と遊べない

8位 家族の理解がない

9位 部活ができない

10位 留年や転校をしたこと

 

1位の毎日の体の症状は当たり前ですが圧倒的に多かったです(約74%の方が回答)。

2位の勉強の遅れや焦りと、3位の将来の不安や絶望はどちらも同じくらい多く、

どちらも40%以上の方が回答されていました。4位以下はそこまで多くなかった

のですが、外来で高校を留年したり通信制高校に転校される方が結構多い中、

留年や転校をしたことは最下位の10位だったという結果は意外でした。

無理して登校を続けなければならないことは非常にストレスで、

転校することはストレスが解消される結果になったと前向きに感じられたのかも

しれません。

 

最後の質問は、ODになって良かった事を自由回答していただきました。

 

質問内容を考える際、ODになって良かった事なんてあるかな・・と思いながら

皆さんに聞いてみたのですが、意外と皆さん、答えてくださる方が多かったです!

 

学校・体育・部活を休めたこと

学校が合わないので転校できた

適応指導教室や通信制高校で同じような境遇の友達ができた

不登校の子の気持ちがわかった

趣味ができて心に余裕ができた

こういう病気があると知れた

自分自身や将来を見つめ直せた

親や友達の優しさを感じた

家族と向き合う時間が増え大切にされていると気付けた

当たり前に感じていた日常がどれだけ幸せかと気付けた

 

などの回答をいただけました。

 

普段、やりたい事ができず辛い生活を余儀なくされる事が多い中、

このように前向きに感じられる意見が沢山出て驚きました。

今は辛い毎日かもしれませんが、このような気付きを持てた方は

きっと大人になられてから、人の痛みの分かる素晴らしい方に

なられると信じて止みません。決してマイナスだけでなく

プラスになる事も多いと思います。ODになった人しか分からない事、

ODになった人にしかできない事も多いと思います。

どうか色々な事を諦めずに毎日を大切に過ごしてもらいたいと思っています。

 

今回は講演会を機会にこのようなアンケートをさせていただけました。

実際の意見をお聞きできてとても良かったと思っています。