いつもお世話になりありがとうございます。

いよいよ冬の寒さ到来でインフルエンザもかなり増えてきました。

どうぞ気を付けてください。

 

今日の話題は、漢方薬についてです。

 

漢方薬は、2000〜3000年前の中国で既に存在していたとも言われ、

とても歴史が深い治療法です。クズやシナモン、桃や杏の種、

ミカンの皮、小麦、マイタケ、生姜、牡蠣の殻、動物の骨、石膏など、

様々な植物や動物、鉱物の成分が使われます。現代の医学で、

なぜ治療効果が出るのか、ちゃんと理論的に判明しているものは

ほとんど少なく、多くは経験的に効果が出るため飲むというものになります。

 

当院では、特に精神的な症状や、起立性調節障害のような不定愁訴に対して

かなり積極的に漢方薬の処方を行なっています。

 

漢方薬を使う利点として、次のようなものが挙げられます。

 

1、向精神薬などは副作用が強いものが多いのに対し、

   漢方薬は安全性が高い。

 

2、西洋薬では治りにくい症状を治せることがある。

 

3、「不安と下痢と頭痛」のように、一度に複数の症状を

   治すことができる。

 

4、体質改善を期待できる。

 

5、西洋薬よりも費用が安い場合が多い。

 

などです。例えば、赤ちゃんの夜泣きや幼児の癇癪に対して、

向精神薬を飲むわけにいきませんが、漢方薬は

乳幼児期から安全に飲むことができ、しかも効果も高いのです。

 

頭痛やだるさなども、西洋薬では治りにくい場合、

漢方薬で結構しっかり治せることをよく経験します。

 

また起立性調節障害や夜尿症、過敏性腸症候群などは、

漢方薬を併用することで、治療効果がかなり上がります。

 

そして冷え性やのぼせ、疲れやすいなどの体質改善にも有効です。

 

漢方薬も一般的には保険適応になり、費用も安く済むことが

多いため経済的です。

 

以上のように、漢方薬は非常に有効性が高いので、

当院では、30種類くらいの漢方を使い分け積極的に使うようにしています。

 

漢方薬と聞くと、苦いとか、飲みにくいというイメージがあると

思われるでしょうが、意外とそうでもありません。

症状や体質に合った漢方薬は、美味しく感じるという経験則があります。

1、2を争うくらい苦い漢方薬を、強い頭痛の方に飲んでいただくと

とても美味しいと感じ、なかなか治らなかった頭痛が一発で治ったという

ことも何度か経験しました。美味しく感じることも多いので、

最初から味に不安を感じないようにしてください。

 

漢方薬は、理想的にはそのまま飲むか、お湯に溶かして飲む方が

いいのですが、難しければ、何かに溶かして飲んでもらって構いません。

例えば、はちみつ、ヨーグルトやアイスクリーム、ココアや

りんごジュースなどです(注意:1歳未満の赤ちゃんにははちみつは

飲ませないでください(ボツリヌス菌感染の危険があるため))。

おうちの方も一緒に、色々なものに混ぜて味見をしてみて、

美味しく飲める飲み方を調べてもらうのも楽しいのではないかと思います。

 

匂いやザラザラ舌に残る感触が嫌だという場合には、種類は

限られますが、錠剤もあります。顆粒剤がダメという場合には

試してみるのも良いかと思います。ただし、錠剤は内服する個数が多いです・・。

1回につき、4錠や6錠を飲むことになります。それでも錠剤が良いか、

やっぱり顆粒剤が良いかは・・飲んでみて判断してください・・(^^;

 

漢方薬では、様々な症状を治すことができます。

頭痛、腹痛、吐き気、下痢、便秘、めまい、立ちくらみ、乗り物酔い、

だるさ、不眠、肩こり、冷え性、のぼせ、発熱、咳、痰、鼻水、

蕁麻疹、湿疹、夜尿、頻尿、生理痛、イライラ、不安・・・など

ほとんどの症状が対象になります。抗生剤が必要な細菌感染や

手術が必要な腫瘍、急性の心臓病や腎臓病などを除くと、多くの病気は

漢方薬の方が効果的という意見もあります。

 

そして漢方薬は、普通の西洋薬と比べ、効果が出るのに時間がかかると

思われる方も多いのですが、そんな事はありません。体質改善効果で

ゆっくり効くものもありますが、多くの薬がすぐに効果が出ます。

今まで西洋薬で治らなかった辛い症状が、あっという間に治ったという

ことも良くあります。

 

小さい子供さんでも、普通の粉薬は飲めないけど、漢方薬は好きで

漢方薬なら飲めるという方も時々おられます。このように、漢方薬は

とても不思議で魅力的な薬です。良かったら一度漢方薬を試してみてください!