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ニュースなどで伝えられていますが、沖縄で麻疹(はしか)の流行が見られていて心配ですね…。沖縄だけではなく、本州(名古屋)でも感染が確認されました。新幹線に乗ったので更に他の地域でも感染者が出るのではないかという声も聞かれます。GWになる事もあり、今後、全国的に感染が拡大する恐れがあります。感染しないためにどうすれば良いか、今回は麻疹について解説させていただきます。

麻疹は、麻疹ウイルスによる感染で起こります。空気感染でもうつるため、患者と同じ空間にいただけで感染するリスクがあります(通常のマスクで予防は出来ない事が多いです)。

免疫がない集団に1人の発症者がいた場合、12~14人の人が感染すると言われていますが、インフルエンザでは1~2人である事から、かなりの感染力である事が分かります。

不顕性感染(感染しても症状がない)はほとんどなく、90%が発症すると言われています。潜伏期間は10~12日ほどで、まずは咳や鼻汁、目の充血や目やになどの風邪症状とともに、38℃前後の熱が2~4日ほど続きます(この発疹のない期間では麻疹と診断されにくいにも関わらず感染力が最も強い時期なので問題となります)。そして半日ほど熱が1℃程度下がった後、再び39℃以上の熱となり、その後、顔から発疹が出現します。発疹はその後、上半身→手足→全身へと拡がってきて、鮮やかな紅色だった発疹が次第に癒合し暗赤色となり濃くなっていきます。発疹が出てから3、4日ほどで熱は下がり、風邪症状も軽快していきます。その頃には、発疹は色素沈着を起こし黒っぽい色になっていきます。

症状は合計、7~10日ほど続きますが、熱が下がって3日経過するまでは出席停止となります。発症の期間中、体力が落ち、肺炎や心筋炎、脳炎などを起こし入院する事も稀ではありません。また10万人に1人の割合で、感染から7~10年後に亜急性硬化性全脳炎と呼ばれる合併症を起こし、知的障害や運動障害を起こし命に関わる事もあります。

麻疹に対しては基本的には特効薬はなく、ワクチンで予防する事が原則になります(接触してから72時間以内にワクチンを接種すれば発症を防げる可能性があります)。

昭和40年代は麻疹は普通に存在していたので、この頃は自然に感染して抗体も出来ていました(ほんの20年ほど前は日本で20~30万人も患者がいたと言われています)。

また1歳から、平成2年4月以降に生まれた方(28歳未満)については、定期接種が2回となった世代ですので、感染の心配は少ないと言えます。

そこで問題となるのが、
1、定期接種が1回だった世代(昭和47年10月~平成2年3月生まれの28歳~45歳の方)

2、まだ1歳未満の乳児

3、何らかの理由で予防接種をしていない方

となります。

1の方については、血液検査で麻疹の抗体価を調べ、低いようなら予防接種をされる事をお薦めします。

2の乳児については、定期接種は1歳以上ですが、生後6ヶ月以上であれば自費で予防接種は可能です。但し、抗体が出来にくい可能性がある事と、万が一重篤な副作用があった場合、任意接種なので補償されないという事を御承知ください。

3の方については、子供さん自身がかからないためにも、他の人にうつさないためにも、なるべく早く接種をするようにしてください。

例えば沖縄旅行をして10日後くらいに熱が出たり、明らかに麻疹の患者さんと接触した後で熱が出た場合は、強く麻疹の感染が疑われます。この場合はすぐに医療機関を受診するのではなく、まずは電話で医療機関に問い合わせをし、どうすれば良いか確認をしてください。そして極力他の人と接触しないように細心の注意を払って医療機関を受診してください。

今回は既に本州でも感染が確認されており、GWなどで全国的に感染が拡大する可能性があります。とても不安になりますが、しかし2年前に関西国際空港で患者が確認された時も大流行には至りませんでした。しっかりと各自が予防に努めれば感染を防げると考えますので、今回をきっかけに麻疹に対する意識を深めて、なるべく予防接種をうつようにしてください。

なお、麻疹単独のワクチンも存在しますが、ほぼ流通していないため、原則として接種されるならMRワクチン(麻疹風疹ワクチン)になります。自費の場合、費用が少し高くなりますがどうぞ御了承ください。

麻疹は発症すると重症化する怖い病気ですが、しっかり予防すれば必要以上に心配する病気ではありません。ちゃんと知識を身に付けていただき予防するようにしてください。