こんばんは、いつも御世話になりありがとうございます。

今日は発達障害の1つである、自閉スペクトラム症についての説明です。

前回の総論の時にお話した通り、自閉スペクトラム症(自閉症スペクトラム障害)は、以前は、広汎性発達障害、アスペルガー症候群、高機能自閉症、自閉症などと呼ばれましたが、最近名称が統一されました。後述の発達特性が強いものを自閉症と言い、その中でも知能に遅れがない場合(IQが70以上)を高機能自閉症と言います。また知能や言葉の遅れがない場合をアスペルガー症候群と呼びますが、最近ではあまり区別されずに、自閉スペクトラム症と呼ばれるようになってきました。

【自閉スペクトラム症の特性】
言葉によるコミュニケーションに特徴があり、何かを言われても理解が難しかったり、会話が一方通行、説明をするのが苦手、大人びた話し方をする、などといった特徴があります。

対人関係が苦手で、友達と遊ぶより1人で遊ぶことを好んだり、ルールのある遊びが苦手、距離感が掴めず人との距離が近いなどの特徴があります。

こだわりが強く、思うようにならないと癇癪を起こし暴れたりする、服装や生活習慣が独特で、同じ服ばかりずっと着続けるなどといった特徴があります。

興味や関心に偏りがあり、好きな事は○○博士と呼ばれるほど知識が豊富なのに興味がない事は全く関心がなくやらないなどの特徴があります。

他にも聴覚や視覚、触覚などの感覚が過敏(または鈍感)で、小さい音でもとても気になったり、触られるのを極度に怖がる、特定の肌触りの服しか着たがらない、触覚や嗅覚の問題で食べ物の好き嫌いが極端に多いなどの特徴があります。

パターン化していないと不安で、予定や道順などが違うと落ち着かなかったりします。予定と違う事が起きたりするとどうして良いか分からなくなり、初めての人や場所を嫌がるという特徴もあります。

更には、人の気持ちを考えたり、場の空気を読み取る事が苦手で、例え話などを本当の事のように真に受ける事も多かったりします。

このような特徴があるのですが、幼児期では、言葉が出るのが遅い、単語が少ない、理解が悪い、何度も同じ事をして怒られる、友達と遊べない、落ち着きがないなどの内容で相談されるケースが多いです。学童期以降になると、勉強が付いて行けない、落ち着きがない、クラスで孤立している、給食が食べられない、不登校になる、などといった内容で相談されるケースが増えてきます。

このような特性の方は、発達検査をすると、出来ることと出来ないことの差がとても大きく、能力にアンバランスさが見られます。例えば耳からの音声情報は理解しやすいのに、目からの視覚情報は理解するのが苦手だとか、短期記憶は得意なのに、単純作業が苦手など、人により得意不得意のパターンがまちまちで、そのために色々困り事が出てきます。

発達検査により得意な事や苦手な事を把握出来ますが、苦手な事は、周りでサポートしてもらったり、少しでも出来るように対策を考えるようにします。小さい頃であれば、言語療法、作業療法、理学療法、ソーシャルスキルトレーニング(社会の色々なルールを覚えていく) などの療育を行う事で、苦手な事が少し出来るようになる事が期待されます。

苦手な事が多いと、色んな事に自信をなくし、不安や緊張が強くなったり、他人に対して攻撃的になる、不眠やイライラ、様々な身体症状が出やすくなったりします。それらに対しては内服薬などで対症的に治療を行う事もあります。

得意な事は、集中してやる傾向があるため、勉強、スポーツ、芸術など、才能として開花する事も稀ではありません。好きな事や興味のある事を見付け、是非伸ばしてあげるようにしてください。

自閉スペクトラム症の説明は以上です(対応などについてはまた改めてお話しする機会を考えています)。次回はADHDの話を予定しています。今後とも宜しくお願いします。