こんにちは。M.ナカニシです。(MはまさきのMです。念のため)
普段は企業内診断士という立場、いわゆるサラリーマンです。
中小企業診断士って資格が活かせてるかどうか...日々精進してますとしておきます。

趣味は広くそしてあさーく。
最近始めたウクレレはすでにエアウ(妄想)ウクレレの域に達してます。
ほかにはギターを少々、たまにはバスを釣ってみたり、ちょいちょい走ってみたり。暴落した株に泣いてみたり。
読書は普段ビジネス書を読んでいますが、少し幅を広げたいなと思っています。

さてさてそんな私ですが、初回におすすめする本、少女漫画です。

私がこの本を初めて読んだのは30歳を超えてから。
読んだ最初の感想が(お蝶夫人ごめんなさい)
そう、今回のおすすめ本はあの歴史に名だたるマンガ【エースをねらえ!】です。

エースをねらえ! 全10巻セット (ホーム社漫画文庫)/ホーム社

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タイトルはほとんどの方がご存知ではないでしょうか。しかし、読んだことがある方となれば少ないかもしれません。
ドラマやアニメでも放映されていましたが、少女マンガということもあり、特に男性は読んだことがない方がほとんどではないでしょうか?
すくなくとも、内容を知らなかった私のイメージは、「昭和のスポ根アニメ!泣きながら努力してついにはトップにたっていく。」というものでした。
そして今回のタイトルに上げたお蝶夫人については、「金持ちの鼻持ちならないお嬢様。」といったステレオタイプそのものでした。

だが、違うんですよ!

もちろん、血の滲むような努力によって、ド素人の主人公(岡ひろみ)が幾多の困難を乗り越えトップを目指していくという、ザ・スポ根マンガなストーリーはあります。
が、普通のスポ根マンガと違ってその上達過程のみを楽しむマンガではありません。主人公の人間的成長以外にも、周りの登場人物の成長や心の機微、岡ひろみとの関係性などが重要性をもって描写されているのです。

これまたステレオタイプな感想ではありますが、多くのマンガが主人公【I(私)の視点】を中心に描かれているものが多いように感じます。
(エースをねらえ!)を見てみると、脇役(というにはあまりにも素晴らしい人物たち)の描写もたくみで、小説的な感じがします。

そんな登場人物たちの名台詞をピックアップし、(エースをねらえ!)の世界観を味わってもらいたいと思います。
並の自己啓発書をかるーく超える名台詞が目白押しです!
あ、ちょいちょいズレた(ずらした)私の感想もいれてみました。
あと小見出しも私のアレンジで。だってせっかく(私)の書評ですから(笑)


●先輩とは、上司とは

まず、私の誤解していたお蝶夫人のセリフ
主人公岡ひろみがかなーり下手なのに、名門校の代表選手としてお蝶夫人とダブルスを組み出場した大会での一言。
お蝶夫人は岡ひろみを可愛がっているものの、和を乱した(当然先輩の嫉妬などを買います)人選に心乱している部分もあります。
そんな中、ひろみの試合中のミスに(敵よりも頼りのない味方の方がおそろしい)というヤジがとんでのお蝶夫人の一言。

「だれです、わたくしのパートナーを動揺させるようなことをいうのは!!」

か、か、かっこいい!

しかしこれだけではありません。ただ守るだけではなく、ひろみにも言うべきことをいいます。

「なんなのさっきのプレイは!負けることを怖がるのはおよしなさい!
たとえ負けてもわたくしはあなたに責任を押し付けたりはしない。
それより力を出し切らないプレイをすることこそをおそれなさい!!」


高校3年間、シングル・ダブルスで負けなしのお蝶夫人がはなった台詞です。重みが違います。
果たして、自分は仕事上で言えるだろうか...
実力もないのに責任は自分にないと考えがち。反省。

もともと岡ひろみはお蝶夫人に憧れてテニスを始めるのですが、物語を通じてお蝶夫人は追いかけるべき先輩として描かれています。
お蝶夫人自身ももそれを自覚し、あるときはその役割に孤独さも感じますが(追いかけるほうより、先に走るものの方が満たされるものがない。ある種の真実なんでしょ。)それを乗り越え、見事にその立場を貫き通します。
物語の始めのほうで(そう、まだ未熟な時ですら!)岡ひろみとの同じ高校生として最後であろう対戦でこのように考えます。

「先輩として後輩の成長を促すように、戦った意味があるように戦いたい」

そこで、様々なショット・テクニックを試合の中でつかい、盗ませようとします。
そう、意外に背中で語る職人タイプなのです。(笑)

お蝶夫人の父、竜崎理事はこの考えをこう称しました。

「結構だよそういう考え方は、人の力はその人間の精神の格によって決まるものだからね。」

背中で語るかどうかは別として、力というものを勘違いしそうな我々に一石を投じるセリフかと。
ついつい、(力があるから出来る)、(ないから出来ない)と因果関係を逆に考えてしまうときあるよなぁ...

私も気がつけばいい年です。(嗚呼!)
仕事でも後輩なんかもいてます。さてさてこういった態度がとれるものかどうか。


これだけでも、お蝶夫人の素晴らしさがわかっていただけたんではないでしょうか?
鼻持ちならぬ、傲慢ちきな金持ち美少女、ついでに主人公のいじめ役なんて決めつけてた私。
最初読んだときの感想が、ただただ(ごめんなさい)な気持ちだったのがご理解いただけるではないでしょうか。

話を少しもどして教育というか信頼関係については、岡ひろみのコーチ、宗方仁のセリフにもヒントが。

「まずこちらがうちこまなければ、相手はこたえないよ」

どうも人は偉く(偉いと思い込むと)なると、下の者は勝手についてくるものだと思いがち。
でも(まずはこちらが)の精神、大事ですね。
本当に自分が偉いなら、教える側なら、発信はまず自分にあるはず。力もあるんだから、偉い方が余裕もあるし、歩み寄ることが必要とも言えますよね。

●天才

主人公である岡ひろみは天才として描かれています。
ド素人、それもめちゃくちゃヘタすぎて、コーチの目を引いたひろみが大きな大会で次々結果を残していきますので当たり前です。
しかし、そこはスポ根マンガ。
ひろみはめちゃくちゃ練習するのです。そう気絶するまで...

一万時間の法則というのをご存知でしょうか?(天才!成功する人々の法則 マルコム・グラッドウェル著)で記された法則ですが成功するには1万時間の訓練が必要だというものです。
そして、その環境と整えるためには周りの環境が必要といった内容ですが、まさにそれを地でいくような内容です。

スランプに陥ったひろみのライバル、宝力冴子がまわりにあたりながら荒っぽい練習を続けたときに友人から言われた一言にもヒントがあります。

「真剣になるのとがむしゃらになるのとは全然別だよ」

エースをねらえ!の全編にわたって、正しい訓練(基礎・王道)を沢山練習することが推奨されているように感じます。

「ありもしない魔球などに目を奪われるな」

このセリフにもにじみ出てます。

しかし、このような大量の練習も天才の必要条件ですが、十分条件ではありません。

【才能】

努力したものからすれば、あまりにも残酷な現実も描かれています。
しかし、その才能がないとされたものも自分の生きる道・活かせる道を自ら勝ち取って行きます。
ここがなみのスポ根マンガとは違うんですよ。

顧みて私たちの日常、そうビジネスではどうでしょうか?
アスリートやアーティストのように突出した才能が求められている訳ではありません。
ざっくり言えば、仕事ができる・成功したレベルの人間は数多く存在できるのです。
そう考えれば、しっかりと取り組めば結果はでるのではないでしょうか?

ちなみに、失敗の重要性についても言及されています。

「負けてくやしかったらあなたもその穴をうめなさい!どんな苦痛がともなおうと欠点をすべてそぎおとしてみなさい。(中略)
やぶれたあとの態度で、失敗をどう生かすかでその人間の器がわかるのよ」

「テストのあとたいてい3種類の感想があるもんだ。あの問題はできた、あの問題はできなかった。あの問題はできたかできないかわからない。
わからないってのが一番タチが悪い。せめてできたかできなかったがわかるくらいの意識がないといつまでたってもその問題を解けるようにならない。
できなかった問題、これはそのあと解明しておけば当分忘れることがない。すんなりできた問題、こりゃ2、3年もすりゃ忘れちまう。それが人間の意識の構造だ。」


どうでしょう。失敗から逃げようとしてないでしょうか?
頭ではわかっているけど...


●今を生きる

物語中繰り返し引用される一文があります。

この一球は絶対無二の一球なり されば心身をあげて一打すべし 
この一球一打に技を磨き 体力を鍛え 精神力を養うべきなり この一打に今の自己を発揮すべし これを庭球する心という 福田雅之助

いかがでしょうか?
あの松岡修造さんも好きな言葉だそうです。
(ちなみに選手時代はエースをねらえ!を遠征先に持っていったらしいです。)

いまのベストを尽くせ。どんな一球も手を抜くな。
一球のために膨大な練習をつむべし

そんなメッセージがみてとれます。
そこも十分大事なのですが、物語ではもう一つの意味が込められているように感じます。

今というのはこの一瞬しかない。その一瞬を大事にしろ 

このように感じるのです。

この一言以外にも(今を生きる!)というテーマは流れているように感じます。
たぶんここが一番言いたいとかな、くらいに思います。
かなりネタバレになってしまいますしここでは伏せますが、本当に考えさせられます。

さて、かなーりの長文駄文で素晴らし【エースをねらえ!】の世界が伝えられたか不安です。
が、読むと(がんばろう!)と元気がでるマンガです。
昔の少女マンガということもあり、絵も独特。
かなり手を出しにくい本かもしれません。
でも食わず嫌いは損をしますよ!

追伸 今回、書評を書くにあたり5回目くらいの通読をしましたが、やっぱり泣きました。