あけましておめでとうございます。お勤めの方は今日が仕事始めの方も多いでしょうか。また、年末年始もお仕事されていた方、お疲れ様です。

今年も当ブログ「読み・感じ・伝えたい~中小企業診断士たちのビブリオバトル~」をよろしくお願いいたします。
 
 
新しい年になりました。新しい年には目標を立てたくなるものです。そして今年は午年。午年の年明けにふさわしく、かつ、目標達成の後押しになる、読むだけでわくわくする一冊をご紹介いたします。

 

海馬―脳は疲れない (新潮文庫)/新潮社
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「海馬―脳は疲れない」 池谷裕二、糸井重里
薬学博士で脳の研究者、池谷裕二さんと糸井重里さんの対談本です。

 

池谷裕二さん個人ホームページ「池谷裕二のホームページ」
「ほぼ日刊イトイ新聞」 

 タイトルにある「海馬」とは、地上を走る馬の仲間ではありません。人間の脳の中の記憶をつかさどる器官の名前です。「海馬」と呼ばれる「タツノオトシゴ」に形状が似ているため、このような名前が付けられました。

この本は2002年に単行本として刊行され、2005年に文庫化されて以来、増刷を重ねています。(昨日、近所の書店で確認したところ、2009年発行の18刷が並んでいました。)

2007年にこの本を購入してから何度となく読み返し、自分をうまくだましてやる気にさせるための燃料として使用しています。もちろん、中小企業診断士資格取得のための勉強にも、この本で学んだ脳の使い方を活用しました。

 

この本では、「頭のよさ」を「頭のいい状態」「頭がはたらいていない状態」という状態として定義しています。
 そして脳は使い方次第で、その人なりに「頭のいい状態」で過ごせる時間を増やせるとのこと。持って生まれた能力は短期間で簡単には変わりませんが、脳の使い方を変えれば、より「いい状態の自分」でいられるなんて!なんだかそれって得した気分!
 この本の中には、「頭のいい状態」を保つためのヒントがたくさん紹介されています。その中で特にお気に入りのくだりをいくつかご紹介。

 

【脳は死ぬまで休まない】(77

考えが煮詰まったとき、人は「脳が疲れる」とよく言いますが…この認識は正しくないそうです。脳はいつでも元気いっぱい、ぜんぜん疲れない。脳が止まってしまったら体肢も五臓六腑も全部動きがストップしてしまいます。疲れるとしたら、目。
 考えごとをして疲れを感じた時は、完全に休憩するのではなく「休まないでほかのことをする」が正解なんだそうです。歩きながら考える、走りながら考える…脳ってタフですね。もっと頼りにしていいのかも。

 

【記憶力を高めるためには、いかに海馬をだませるかが重要】(150

海馬は情報の要・不要を判断して他の部位に記憶を蓄える「記憶の製造工場」という役割を担っています。さらされている膨大な情報の中から、必要な情報を「ふるい」にかけているのです。最優先されるのは「生存に必要な情報」。試験勉強で必要となる知識などは、生存に絶対必要な情報ではないため、本来海馬の関所を通ることが難しいのです。では、どうするか?

なんと、関所を通り抜けるために海馬をだます方法があるのです。それは覚えたいことを「好きになる」こと。海馬は感情をつかさどる扁桃体の隣にあるため、「扁桃体が活性化されると海馬も活性化する」。つまり記憶の関所を開いてくれるのです!

好きこそものの上手なれ、とは真実だったのですね。好きと思えば記憶の関所を通してくれる。海馬って意外と単純です。

 

【やりはじめる前に、やる気がないのは当然】(207

脳には「やる気」を生み出す側坐核という場所があるそうです。ここの神経細胞が活動すればやる気が出る。どうすれば活動をはじめるかというと、ある程度の刺激が来たときだけ。つまり「やる気がないなぁと思っても、実際にやりはじめる」ことで脳が興奮してきて、「作業興奮」という作業に見合ったモードに変わっていく。掃除をやりはじめるまでは面倒くさくても、やりはじめればハマる、あの感じです。

気が進まない勉強や作業はとりあえず手をつけてみるか。側坐核が助けてくれるはずです。

 

疲れずに働いてくれる優秀なパートナー、「脳」をうまくだまして、自分で自分をいい気にさせてみる。そしてどんなことでも楽しんでやってみる。

 この本をヒントに脳のしくみを知って、脳に目標達成を手伝ってもらいませんか?

 

以上、「走る週末診断士」山猫でした。

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