某月某日。
1通のメールが届く。
事の発端は、僕の組んでいるバンド、多摩川チェリーズである。
メンバー募集を見て、そして何より僕の書いた歌詞を見て、
「この人しかいねぇ!!」
と思ったらしく、以下のメールが届いた。
『初めまして!
詞最高です!!なんか「銀杏BOYZ」と「メンバー募集」で
検索かけてたらきちゃいました。日記おもしろいっすね!!
僕は銀杏みたいな狂ったライブをやりたいんです。
カラオケボックスで暴れるのにも限界がきてしまったので…。
ボーカル希望ですけど、ギターもちょろっと弾けます。
21歳ドーテー真っ盛りです。人見知り全開ですけど、
興味をもっていただけたら気軽にメールください!!』
童貞!?
まさに僕達が求めていたものである。
失っていないが故に純真無垢。
無垢とは言っても彼のチンポは垢がたっぷり有ると思うけど…。
こんなナイス条件の人がメンバーに入りたいと言ってるのだ。
放っておくわけにはいかない。
ただ僕とメンバーのぱんには一つ懸念していた事があった。
それは僕達のやる気と彼のやる気の温度差である。
メンバーの一人であるぱんなんて、
「どうせジェンヌの企画なんだからバンドなんて嘘でしょ。
だったらオレはチンコギターを弾いてやるぜ!!」
みたいなノリで適当にメンバーになると言った男である。
僕が、
「結構真剣にバンドやろうとしてるで。」
と言った時の彼の驚いた顔は忘れない。
ただ、いくら僕がやる気といっても、
全くの素人だし楽器も持ち合わせていないのだから
僕のやる気もたかが知れてる。
そこに彼の登場である。
本気でバンドがしたくて、わざわざ『メンバー募集』で検索して
僕達のバンドを見付けたわけである。
全く知らない人である。
そこに賭ける彼の情熱はハンパではない。
だから、僕達のチンタラした活動、いや活動すらしない事に
苛立ちを覚えるのは必死だと思った。
また、彼は案の定勘違いしていた。
僕達の活動の拠点を多摩川だと思っていたのだ。
確かに名前が悪いといえば悪い。
そして、実際に会ってみる事になった。
童貞というからには秋葉系の気持ち悪いのが来るのか、
なんて妄想を抱きながらも、実際に会うと割とナイスガイだった。
本当に童貞か疑ったくらいだ。
しかし、話し込むと分かる。
一点の曇りもない彼のピュアハート。
そう、それはどことなく同じ童貞であるK君と通じるものを感じた。
僕はとにかく僕のバンドに対する思いの丈を叫んだ。
「オレはモテたいんだ!!」
つづく…。