そこに山があるから… | パリジェンヌに憧れてンヌ!

そこに山があるから…

修学旅行。 

今も昔も学生にとっては楽しい思い出の場です。

僕も毎回、非常に楽しみにしてました。 
あれは中学生だった頃の修学旅行。

中3の僕たちは飛騨で登山という修学旅行にしてはハードなものでした。 
「そこに山があるから登る。」 
なんてのは登山家の話しであって、
一中学生にはなんら興味の沸かないイベントです。 

とはいえ、クラス全員で行動するのが修学旅行の魅力。 
夜中に、「え~、お前○○が好きなのかよ~!」 
って言ったりするのが醍醐味なわけです。
それだけが楽しみで僕たちは山に登りました。 

しかし、素人の僕たちが父の背中よりも大きい山を簡単に
攻略できるはずがありません。
学校の先生も先生だったのですが、
確実に登山ルートの選択が素人向きではありませんでした。
 
幅が40cmくらいで、すぐ隣がガケなんていう道もあれば、
いきなり道の途中でガケが現われて、40cmくらいジャンプして
道に戻るみたいなルートもありました。
1歩足を踏み外せば即死です。

他のみんながどんな気持ちで山を登っていたのかは知りませんが、
僕は死を覚悟した山登りでした。

おまけに後続を無視して先に進む事、進む事。
生徒のほとんどは高山病です。 

それでも瀕死の思いで、
全員がガケから落ちることなく山頂に到着しました。 

もう山を登らなくてもいい…。 
開放感でいっぱいです。

宿舎に荷物を置くと、高山病に侵されていない元気な
人間は山頂で鬼ごっこをしに行きました。
デリケートな僕は、高山病にうなされてたので、
隣のクラスの人間とトランプをしてました。 

しばらくして、外が何か騒がしいです。
すると、クラスメイトが部屋に入ってこう言います。 

「田中(仮名)が山から落ちて死んだーー!!!」 

山頂に来るまでに山の恐ろしさは全員理解してます。
こんなところで鬼ごっこなんてしてたら、
そりゃ誰かは山から落ちるでしょう。 

もう、パニックです。 

クラスメイトがリアルに死ぬなんて滅多な事じゃありません。
すると続報が部屋に入ってきました。 

「田中(仮名)が喋ったぞ~!! 
 生き返ったぞ~~!!!」 

それを聞いて、部屋中「うぉーーー!!!!」ですよ。
ヴェネチア映画祭でも見られないくらいのスタンディングオベーション。 

生き返ったのなにも、初めから死んでないなんて誰も気付かない。
それくらい、生きててありがとうと全員が思った瞬間でした。 

それでもガケから落ちた代償は大きく、
田中(仮名)は鎖骨を折るというケガを負いました。 
そうすると、もう修学旅行どころじゃないわけです。

山頂にはヘリコプターがやってきて、田中(仮名)は病院に運ばれました。
すると、不思議とみんな現実に戻ってきて、 
『一歩間違えると死』 
というのをリアルに実感します。 

もう空気が重い。
あんな暗い修学旅行は二度とゴメンです。