メルトダウン・クライシス | パリジェンヌに憧れてンヌ!

メルトダウン・クライシス

ふと気付くとこんなところに毛が生えている。

そんな経験はないだろうか。
僕にも当然ある。

そいつは1本だけ、勇ましく僕の左の乳首にそびえ立つ。
太く、長く、そして美しく…。

そいつ以外には左乳首にも右乳首にも目立った毛はない。
どうしてこいつだけ…。
そう思うのも当然である。

抜いても、気付けば元の状態に戻っている。
さも抜いたという事実がなかったかのように。

これはもしや体が何か訴えているのでは?

そう考えるのは当然の流れである。

例えば、咲くはずがない季節に桜が咲いた。
急に動物がどこかに消えた。
こういった事態は何かが起こる前触れでもある。

そう、僕の左乳首という名の大草原に、乳毛という砂漠ができたのだ。
これで何も起こらならないはずがない。

絶対僕の体に異常があるのだ。
きっといつか体が爆発する。


そんな恐怖と戦って3年ほど経っている。
いまだに何も起こらない。

一体何故だろう。
僕の生死に関わる問題である。
もう少し別の視点から考え直さなければいけない。

人体が持つエネルギーの量はかなりのものである。
厳密に計算するのはめんどくさいので省略するが、これは確かな事実である。

僕はここに大きなヒントを見出した。
例えば原子力発電所なんかも大きなエネルギーを持っている。
しかし原子力発電が正常に出来るのも冷却材という要因があってこそ。
この要因がメルトダウンという最悪の事態を防いでいるのだ。

どこかで似た話しを聞いたじゃないか。

そうだ。
人体の体にも同じ事が言えるのではないか。

人体の持つ有り余るエネルギーを、ありえないことろに生える乳毛というものに変えることで、人体のメルトダウンを防いでいるのだ。

僕は乳毛が爆発をもたらすと考えていた。
しかし逆だった。
乳毛が爆発から僕を救ってくれていたのだ。

そう、僕の体という砂漠に、乳毛という1輪の花が咲いたのだ。


僕はただ人体の神秘に驚くのみである。
アリガトウ、乳毛。