■ありえない組み合わせ、丼屋と温泉の妙
熊野の3つの大社を制覇した後、GFは言った。
あそこに行かないと、熊野で神に会ったとはいえない。
私たちは、車を奈良の方に走らせた。
某神社を訪れ、神の力を感じた。
その後、腹が減ったので、ご飯屋を探した。
その前日、宿でたまたまブザービートを見た。
GFも私もテレビを持ってないので、食い入るように見た。
ちょうど最終回だったのだけど、
ちょい役の人がカツ丼を食って、試合に勝つぞ!なんてシーンがあった。
GFは、カツ丼が食いてぇ、とうるさかった。
そんな記憶が二人にある中で、ご飯屋を探した。
十津川村に向かう途中で、蕎麦屋を見つけた。
そばでも食うかね、と話していたら、
その対面にドンブリ屋が見えた。
蕎麦屋は道の左側にあった、ドンブリ屋は右側。
普通に考えたら、左側のほうが絶対に入りやすい。
が、その時、ドンブリ屋の看板がGFと私の目に入った。
「ドンブリ、定食、温泉」
??
温泉って何だ??
GFと僕はその文字に引き込まれ、
後続の車を止めて渋滞を作った上で、右側のドンブリ屋に入った。
■マーケティングの視点
GFも僕も、テレビCMで何をやってたかなんて覚えてなかった。
でもカツ丼は覚えていた。
しかしそれだけでは、渋滞を作ってまでその店には入らなかった。
「ドンブリ、定食、温泉」
そのありえない組み合わせに、二人のボルテージが上がった。
店側からしたら、温泉出たし、
温泉有名なんだし、せっかくだから一緒に出そうよ、
といった発想だと思うが、
そういったちょっとのおせっかいが私たちの心をつかんだ。