こんにちは!
草野球プレーヤーモトという名前でYouTube活動もしています。
Twitterを見ていたところこんな疑問を持っている方がいました。
このTweetに対しての回答ですが、
トレーニングによって関節は強くなります。
(関節イメージ図)
今回はその話についてまとめてみました。
この話、そういえばイチロー選手はこんな風に言ってましたね。
(Google検索結果より引用)
これはある意味間違いとなります。
※なぜ"ある意味"という言葉を使うのかについては1番最後に説明します。
内容を理解するために関節を構成しているものについてまず整理しましょう。
そもそも関節とは?
関節を構成する要素は大きく分けて4つです。
骨
筋肉によって動かされる物体
靭帯
骨と骨を繋ぐもの
腱
筋肉と骨を繋ぐもの
"関節が強くなる"という言葉の定義について考えてみると、関節を構成するこれら4つが強くなるのか?という事になるでしょう。
筋肉は言うまでもなくなく、トレーニングによって強くなります。骨も骨密度を高めるためにトレーニングが有効なことは広く知られているでしょう。
よってここで生まれる疑問は関節のうち
靭帯と腱は果たして強くなるのか?
ということになります。
腱や靭帯は果たして変化するのだろうか?
皆さん、捻挫あるいは骨折したことありますか?
捻挫とは靭帯が伸びた、あるいは断裂した状態です。
基本的にその時の対処法はギプス等を使い固定する事となります。
そして、ギプスを外した時に関節は柔軟性を失い、靭帯は硬くなった状態となります。
茹でたパスタは曲げても2つに折れたりしませんが、茹でる前のパスタは曲げる刺激によって2つに折れるでしょう。
関節を構成する靭帯についても茹でる前のパスタのように柔軟性がない状態はいわゆる関節が弱い状態と言えます。
では、ギプスを外した硬くなった靭帯はそのままの状態となるでしょうか?
硬くなった靭帯は時間とともにその柔軟性が回復し、ケガをする前に近い状態に戻ると考えられます。つまり、靭帯は“一度失った柔軟性を回復する能力がある”と考えられます。
靭帯にも機能的適応があるという事がここから想像がつきます。
そもそも、筋肉が肥大するには結合組織の細胞が強くなることが必須であるということを示した実験もあります。
(Turioら,American Journal of Physiology,1974年)
結合組織とは腱や靭帯の事を含んでおり、逆説的に言えば筋肉を肥大化させる事によって靭帯や腱を強くすることが出来ると言えます。
筋トレによる変化をもっと詳しく見た実験
このブログを書くにあたって改めて過去に読んだ文献を見返していたところ、こんな実験もありました。
(スクワットのしゃがむ深さと重量負荷の変化に伴う膝関節と脊柱への負荷の分析)
ディープスクワット(深くしゃがむスクワット)についてメタ分析し、筋骨格系に危険がないか調べた実験です。
※メタ分析とは
一定期間の複数の文献のデータをまとめる事
この文献の内容でもスクワット刺激によって、結合組織が機械的刺激によって長期的に見れば有利な変化を起こすことが示されています。
(英語読める方は読んでみてください)
ただし!
まだ早合点しないでください。
関節が強くなるという響きに対して皆さんが求める事は、現状の負荷よりもより高い負荷に耐えれるようになる事でしょう。
しかし、上記の内容はあくまで
●関節自体の柔軟性が上がること
●長期的にみた機能的適応があること
によって結果的に関節が耐えれるようになる可能性が高まるという内容です。
そのため、
トレーニング内容的にも身体が本来持つ理想的な動きをしている事が前提条件となります。
筋肉自体はメカニカルストレス、代謝環境、酸素環境、成長因子、筋繊維の損傷の5つに代表されるトレーニング刺激によって発達しますが、筋肉の成長スピードと腱、靭帯の成長スピードが同じになるとは限りません。
例えば、スクワットを行う際に
骨盤が極端に後傾する場合に腰椎が受けるダメージは怪我に繋がるかもしれません。
筋肉は上記5つのトレーニング刺激さえあれば発達する可能性が高いですが、腰椎付近の結合組織の発達は間に合わないかもしれないからです。
逆に正しいスクワットを怪我なく長期的に行った場合、少しずつ結合組織が強くなったとします。
結合組織が強くなった後であれば、多少フォームを崩してダメージが大きくなった場合に"耐えれる"ようになっている可能性もあります。
まとめ
●トレーニングによって関節は強くなるか?
➡︎「強くなる」
●強くなった関節は怪我をしなくなるか?
➡︎「人による」
※腱や靭帯が成長したとしても
筋肉の発達と差がある可能性があるため
最後にイチロー選手の発言に対し
「ある意味」とした意図について説明します。
ご存知の通り、イチロー選手は一定レベルの筋肉量も筋力も元々持っている特別な選手でした。
ダルビッシュ選手の言葉を借りれば、ライオンです。
そして、イチロー選手自身ウエイトトレーニングに取り組んだ時期はあり、その上で要らないと判断しています。
もしかするとイチロー選手は
「関節が耐えうる強度」を把握できこれ以上筋力をつけるべきではないという判断をしたのかもしれません。
「筋肉が大きくなっても、関節とか腱は(大きくなった筋力に対して充分なレベルまで)鍛えられない」
という意図があったのかもしれませんね。
要するに必要な分の筋力があるのにリスクを冒してまで、ウエイトトレーニングを行う必要がなかったのでしょう。
だって、それ以上の筋力をそもそも求めていないのですから。
ちなみに関節を強くするために必要な刺激は
「筋肉が引き延ばされる刺激」です。
そして、初動負荷理論のトレーニングはまさしくこの系統の刺激だなーともこのブログを書きながら思いました。
もしかすると、イチロー選手のようなライオンタイプはウェイトトレーニングを行わない方が良い可能性がありそうですね。
まあ、違う議論を生みそうなので今回のブログはこの辺で終わりとします!
この話が誰かの役に立てば嬉しいです。
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では、また。
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