まず、結論から述べますと
"筋繊維単位で見ると、トレーニングによって
速筋が遅筋化するのは当たり前の事である"
"遅筋繊維の増加は悪ではない"
と言えます。
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まず、遅筋と速筋という2種類の筋繊維があることは知ってる人が多いと思います。
ご存知の通り、
遅筋線維はタイプIと呼ばれ、速筋線維はタイプⅡと呼ばれます。
が、実はもう少し細かく分ける事が出来るんです
筋肉の収縮はミオシンというタンパク質の機能で起こりますが、そのミオシンの遺伝子種類は4種類ある事がわかっています。
そのうち1種類はヒトには殆どない事が分かっており、つまりヒトであれば筋繊維は3種類のいずれかになるという事。
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【3種類の筋繊維】
❶タイプI 遅筋繊維
有酸素系酵素の活性が高く、解糖系酵素(瞬発系)の活性が低い。
➡︎持久力に優れた筋繊維!
❷タイプⅡx 速筋線維
有酸素系酵素の活性が低く、解糖系酵素(瞬発系)の活性が高い。
➡︎瞬発力に優れた筋繊維!
❸タイプⅡa 持久力のある速筋線維
有酸素系酵素の活性が高く、解糖系酵素(瞬発系)の活性も高い。
➡︎持久力にも瞬発力にも優れた筋繊維‼︎
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タイプI型(遅筋)に比べタイプⅡ(速筋線維)は
2〜3倍ほど反応速度が速いのが特徴。
筋繊維のタイプ分けって他にも沢山方法があって、上記はタンパク質による分類ですが
他にも代謝性の特性で分類する方法 や
(FG FOG SOの3種類)
組織染色法で分類する方法なんかがあります。
ただ、個人的には上記のタンパク質の機能で分ける方法が一番分かりやすいと感じます。
そして、ここからが本題。
タイプI⇆タイプⅡの変化はヒトの場合は起こらないとされています。
つまり、
冒頭の"速筋が遅筋化する"は
そもそもあり得ない事なのです。
勘のいい方の場合
「タイプⅡの2種類が変化するのか?」
と察しましたか?
タイプⅡx ⇆ タイプⅡaのシフトは起こります。
ただし、"トレーニングによってのシフト"は
タイプⅡx(瞬発型速筋)
➡︎タイプⅡa(瞬発型&持久型速筋)
はあり得るが
タイプⅡa(瞬発型&持久型速筋)
➡︎タイプⅡx(瞬発型速筋)
へのシフトは不可能とされています。
仮に瞬発的な能力を高める運動を行っても、
筋繊維の殆どがタイプⅡx➡︎タイプⅡaに
移行するという結果が報告がされているのです。
アメリカのある研究方向によると、
オリンピックレベルのトップアスリートである投擲などのパワー系の競技選手の筋繊維を調べたところ、Ⅱx(純粋な速筋線維)は殆どなくほぼ全てがⅡa繊維となっていたのだそう。
一般人の場合はⅡxとⅡaの比率は
1:1〜2と言われているがトップアスリートに
近づくほどⅡxは0に近づくようです。
つまり、
筋繊維はどんなトレーニングをしても、スタミナのある方へシフトしていくって事。
じゃあ、何故最近は
速筋が遅筋化するのが悪者のように発信されるのでしょうか?
理由は簡単、あるトレーニングを否定したい時に説得力があるし分かりやすいから。
ちなみにこの筋繊維のシフトは2週間程度で起こります。トレーニングによって速筋繊維はより持久力の持つ、タイプⅡaへと変化するわけですが、もちろん逆にサボればタイプⅡxへと変化するパターンもあります。
トレーニングをしている方であれば試してみると分かりやすいでしょう。2週間トレーニングをサボれば今扱っている重量が同じ回数上がらなくなるはずです。
つまり、速筋線維を増やしたいという思いを叶える方法は「トレーニングをサボる事」しかない。
もちろん、そんなものはオススメはしませんけどね。
------------------------------------------------ スマートトレーニーの自己紹介 2019年からはDr.ストレッチのトレーナー として働いている。 順天堂大学スポーツ健康科学部 出身 大学にてスポーツ医学、トレーニング等について また、セミナーに積極的に参加し 身体にまつわる事全般を学ぶ。 大学時代はゴールドジムの現場で2年間ほど トレーナーとしての経験を積む。 大学まで硬式野球部に所属 現在はSWBC JAPANの選手として、 また野球YouTuber(草野球プレーヤーモト) として活動中。 --------------------------------------------------------- |