学生時代に読んだ本の一つに、歴史家ヨハン・ホイジンガの「中世の秋」ありました。時期としては、ひとつにルネサンスが起きた時期、そしてペストの大流行があった時代をフランドル地方とオランダを中心に調べ上げた歴史書でした。

 

 

  本の内容

 

この書物は、十四、五世紀を、ルネサンスの告知とはみず、中世の終末とみようとする試みである。中世文化は、このとき、その生涯の最後の時を生き、あたかも思うがままに伸びひろがり終えた木のごとく、たわわに実をみのらせた。古い思考の諸形態がはびこり、生きた思想の核にのしかぶさり、これをつつむ、ここに、ひとつのゆたかな文化が枯れしぼみ、死に硬直する――、これが、以下のページの主題である。この書物を書いていたとき、視線は、あたかも夕暮れの空の深みに吸いこまれているかのようであった。ただし、その空は血の色に赤く、どんよりと鉛色の雲が重苦しく、光はまがいでぎらぎらする。 
 いま、書いたものをよみかえしてみて、こう思う、もうすこし、この夕暮れの空に視線をとどまらせていたならば、にごった色もしだいに澄み、ついにはまったき澄明さにいたったのではなかったか、と。(「第一版緒言」より) 
歴史家ホイジンガが、中世人の意識と中世文化の全像を精細に描きあげた不朽の名著。
 

 

  実は、重い時代背景があったのです。

 

当時ヨーロッパでは、ペストが大流行しており、世界人口4億5000万人中、ヨーロッパだけで、5,000万もの人が亡くなっているのです。イタリアを中心に文芸復興の名の下に、ルネサンスが巻き起こっていた反面で、ヨーロッパではペストによる死者により、多くの労働者を失った時期でもありました。最後の花火が派手に見えるが如く、輝きを放ったルネサンスで湧いた地域とフランスあたりでは、違った景色があったという風に捉える事に、僕は結論づけました。

 

ヨーロッパにおけるペストの被害状況です。この事を触れずに、中世は語れないと僕自身は思います。

 

 

結果として、封建制度の崩壊に向かった! 

 

ホイジンガが、文明の黎明期から見て、ヨーロッパの中世を秋と捉えたのですが、

実は、ペストにより、多くの労働者、とりわけ農民を失い、従来の荘園はたち行かなくなり、領主は農民に土地を貸し、あるいは農業に対する賃金を払うなど、封建制度は崩壊に向かったのです。

 

 

産業革命が起こるまで、ヨーロッパは停滞するのですが、活路を見出すために、大航海時代が到来し、世界商品(金を始めとする鉱物、香辛料など)を求めて、スペイン、イタリア、ポルトガルの国々は、東へ西へと航海したのでした。

 

 

当時の読み方、見方を変えれば、中世の秋という本は、すごい歴史分析かも知れません。当時の所管としては、ただ、難解で、退屈な内容だった記憶です。

添乗を含め、現地へ行き、見聞すると世界史のほんの一部であった事に、気がつきます。最近、俯瞰的に物事を見るようになって、本当の世界史に興味が湧いてきました。

 

 

だからこそ、もう一度、ホイジンガの中世の秋を紐解くべきかも知れません!

 

 

 

 

 

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