何ということだろう。
マンションを契約してしまった。
賃貸ではない。新築マンションを購入したのだ。
30を目の前にしてこの決断、果たして凶と出るか吉と出るか。
マンション購入に至るまでのスピード感がとにかく半端なかった。(いやわかんないけど……。もしかしたらこれくらいが普通なの?)
だって本格的に購入を検討し始めたのは、たった2週間前のことなのだ。
〜回想〜
今の部屋にもそろそろ飽きてきたなぁ〜。
せっかくだから駅近にでも引っ越してみるか……。
うわ。立地優良かつそれなりに新しい物件だと、やっぱり結構良いお家賃なのね。
うーん。今のお部屋は安いし陽当たり最高で気に入ってるんだけど、セキュリティ面が甘いのよね。
何だか知らないけど、最近変な人が毎日のようにうちのインターホン鳴らしてくるし。
一度も応対してないから今のところ被害は無いんだけど、正直ストレス……。
というか、お隣さんと下の階の生活音がダイレクトに聞こえてきて、それもストレス……。
やっぱセキュリティ良い&鉄筋コンクリート造はマストだなぁ。
……ていうか、この値段の家賃払うくらいなら、マンション買っちゃっても月の支払い額ってそんなに変わらないのでは……?
昨今の宇都宮駅周辺って、ひと昔とは比べものにくらい人の出入りが激しい。
もともと餃子目当ての観光客はちらほらいたけど、今は偶にびっくりするくらい人が溢れかえっている時もある。
聞き込みによると、どうやら都内に通勤する人達が徐々に安い住居を求めて宇都宮に流れつつあるらしい。
これは果たしてLRT事業の成果なのか。
思い返せば最近ボコボコとマンションを見るようになったけど、そういう……。
………うーん。
もやもやしながら会社に向かう。
いつものようにぽちぽちPCに向かい、ふと近くにいた私邸建築中の先輩に相談してみた。
「最近ちょっと考えてるんですけど。(最近ってか昨日一昨日からだけど)マンション購入ってどう思います?」
「えっ」
「いやぁ。宇都宮駅周辺の賃貸物件を探してたんですけど、これがめっちゃ高いんですよぉ。これならマンション購入も一つの手かなって。ぶっちゃけ資産になるじゃないですか。今の宇都宮の感じだと、多少利益も期待できるかなーなんて。ちょうど新築物件が4つくらい出てて、わたしの推しはここなんですけど……」
「あと3つはどこなの?」
おっ。思ったよりいい食い付き。
わたしが物件HPを送ると、先輩は意気揚々と読み漁りはじめた。
「なになに。窓の構造はこうなってるのかぁ。浴室のイメージはこれ?……あぁ、ドアにパッキンが付いてないのはいいね。うわ、ここのセキュリティめちゃくちゃ最新鋭だな!」
「………」
仕事をする私の隣でひたすら楽しそうにHPを読み漁る先輩。
いや、いいんだけどさ。話を振ったのはわたしだし。
でもまさか、こんなに食いつくとは思わなかったぞ。
とにかく先輩、自分が注文住宅を建てている最中なだけあって、細かいところに目が行き届くこと!
住宅ローン控除やZEH水準など、すべてこの先輩に教えてもらったといっても過言ではない。
何せ、休みの日にまでHPや資料を確認し、気になるところをピックアップしてくれたりしたのだ。
はっきりいって足を向けて寝られない。
「あとは各社の見積もりがどんな感じかだね」
「そうですねぇ。ここまで来たらモデルルーム見に行ってみようかなぁ……。あ、そういえば先輩、明後日休みでしたよね。よかったら一緒に行きません?笑」
「明後日?いいよ」
〜回想終了〜
そんなあまりにも面倒見が良すぎる先輩と共に、わたしはモデルルームツアーへと繰り出した。
スーモカウンターへ物件相談にも行ってみた。
第三者目線の意見が欲しくて、更に先輩2名を引き連れて再度モデルルームに行ってみた。
この間、およそ3日である。
そして来たるXデー。
わたしはとある物件にサインをした。
担当者は一個下の若え兄ちゃんだった。
やけに軽いノリなのが気になる兄ちゃんだったが、紹介する物件は予算、間取りともに概ね希望通りであったため、もうここしかないとすら思った。
しかし最後まで悩みに悩み、サインをするまでに3時間以上(!)は掛かったと思う。
結局正午から22時まで付き合わせてしまった兄ちゃん、決断が遅くて本当にすまない……。
「全然ゆっくり悩んでください!本当に無理するくらいなら白紙にしちゃってもいいんで!」
なんて笑顔で言いつつ、最後は自宅先まで送ってくれるなんて、アンタいい男だよ……。
いや、まぁ、営業の一環だったんだろうけど……。
そんなこんなで、ローンの審査さえ通ってしまえば春からマンション生活のスタートである。
これで審査が通らなかったなら仕方ない。今は時期ではなかったということさ……。
(これだけ沢山の人を巻き込んどいてそのオチは流石にネタ過ぎるけど)
ランチは駅前にあるベトナム料理屋の麻辣フォーを頂いた。
野菜たっぷりシビカラ刺激。
にんにく酢なる調味料があったので使ってみたが、これをちょい足しすると深みが増して美味しい。
辛いもの好きとしては特段目新しい味ではなかったけれど、きっとこの日、先輩達とフォーを食べたことは一生忘れないだろうな……。
お付き合い頂いた皆様に感謝感謝。
