健康 意外と奥深い? 酒とロシア人
【外信コラム】赤の広場で
「うまくできたやつを1本持ってきた。飲んでみて」
ロシア人の知人がこう言って、ピンク色の液体が入ったビンを持ってきた。ふたを開けてみると、果物のような香りとともにアルコールのにおいが鼻をついた。なめてみるとウオツカ並みに強い。「サモゴン」と呼ばれる密造酒だ。
ロシア政府は1月、ウオツカを0・5リットル当たり89ルーブル(約245円)以下で販売してはならない、という庁令を出した。深酒や人体に適さないアルコールで国民が健康を害するのを案じた政府の方針だが、庶民の方はそんなことにはおかまいなく自分たちが飲む酒はしっかり確保している。
10年以上も前、古都サンクトペテルブルクで大学教授夫妻の家にホームステイしていたときのことだ。出張などで夫人が家を空けたすきに、老教授は書斎にしばしば招いては本棚の裏からサモゴンを取り出しロシアの歴史や文学の講釈をしてくれた。知識の深さにも舌を巻いたが「妻に頭が上がらない人はどこの国でもいるのだ」などと当たり前のことも確認できて楽しかった。
酒量が多いだけに、酔っぱらったロシア人ほど手に負えないものはない。ただ、知識人と酒を飲むと貴重な意見を聞くことも少なくない。酒とロシア人の関係は、意外と奥が深い。(佐藤貴生)
※この記事の著作権は、ヤフー株式会社または配信元に帰属します
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100924-00000087-san-int