前略、師匠。
お誕生日おめでとうございます。
SNSではいろんな方が師匠のお誕生日をお祝いしてます。
やっぱり流石だなぁと思うのが、向こうへ旅立たれた日を自分の誕生日にしちゃうっていうのが、なんというか師匠らしいというか、一番悲しい日になるだろうこの日に、たくさんの人が「おめでとう」という、とても優しい演出だなって。
あれから一年、師匠はよく私の夢に出てきてくれますね。
そんな、もっと師匠に会いたい人はたくさんいらっしゃるから、私のところじゃなくてもいいんだよという思いと、寂しい気持ちと、何とも言えない優しい気持ちで朝を迎えます。向こうに行かれる前に、もっともっと話しておきたかったなという思いも。
最近夢の中で会った師匠は、ZANNEN座の舞台の後で、私が駆け寄るとニコニコしながら「良かったよ」と言ってくれました。その言葉よりも、あのニヤニヤっとした笑顔が何よりもうれしかったです。『姉と暮らす』のあと、客だしの時に会った師匠と同じ顔でした。(あのとき、メモ帳にまだ間に合うダメだし(もっと良くなっるためのアドバイス)をたくさん書いてくれてましたね。本気で作品を見てくれた証ですね)。
でも師匠ったらその夢の中で、「一個だけわかんないところがあるんだよなぁ、咲紀、あの窓は違うと思うぞ」と珍しく険しい顔で言うものだから、私はその日から窓の演出が気になって仕方がありません。まだZANNEN座でも窓を使った演出は出てきてないので、これからめちゃめちゃ窓を気にしながら作品を作っていくのかなぁと思うとなんだか可笑しくなってきます。せめて照明なのか、セットなのか教えて欲しかった!(笑)
今日も私は稽古場へ行きます。
師匠の一番の教えはやはり何と言っても「演劇の楽しさ」です。
「稽古場というのは公園です」
忘れられない言葉です。この言葉があったから、私は師匠と出会う前よりももっともっと演劇が好きになりました。
ここ数年、先生をやって、師匠ほどではないけれど、私なりに伝えていけてる気がします。
師匠から私へ、私から誰かへ、その誰かがまた他の誰かへ…
そうやって伝わっていったら演劇はもっと素敵で楽しくなりますね。
こちらはまだまだコロナが大変で、ようやく落ち着いたかと思ったら跳ね上がったり、時々なんもかんも嫌になったりします。
でも、良くも悪くも世界は日々変わっていくので。
その変化をしっかりと見て、私は今日も生きていきます。
その変化が、私の中でとても大事な肥料になるんだなぁってこの一年くらい強く感じています。
師匠の想いを、演劇の素晴らしさを受け継いで次に繋いでいくけど、きっとその途中にはいろいろな変化があったり私なりの考え方やアレンジなんかもあったりして、まだどうなるか分からないし、10年後の私がどうなってるのかも想像つかないけど、それが人生。楽しいところの一つですよね。
どうか演劇界のこれからを、ZANNEN座のこれからを、私のこれからを、ずっとじゃなくていいから、たまにでいいから、時々は夢の中で会ったりして、見守ってくれたら嬉しいです。
師匠のTwitterをのぞいたら、あの日のままで止まってるけど、今日は風船が飛んでいきました。師匠のファッションみたいにカラフルな風船が画面の中でふわふわ上まで飛んで行って、スクロールして追いかけて見たけど風船はそこで消えちゃいました。きっと、そちらまで飛んでいったのでしょうね。
きっと今日は、師匠のお誕生日を祝してたくさんの人が風船を飛ばしてると思います。
それでは私は、稽古場という公園に行ってきます。
