幸せな光景 | ちょっち、「代表取締まられ役」が考えたこと。

幸せな光景


地下鉄新宿駅で、白髪のおじいさんは黒い背広を着ていた。右肩には薄紫色の大きな布製の鞄。左手はピンクのお洋服を着たお孫さん(多分)のちっちゃな手。

ふたりはエレベータに乗った。女の子は上の段から振り返っておじいさんに何か話しかけていた。おじいさんは耳が遠いのか、女の子の声が小さいのか頭と頭がくっつくくらい腰をかがめて聞いていたよ。

エレベータを降りたらまた二人は再び仲良く手をつないで歩く。次は階段。

下り階段で変化があった。

女の子はピョンピョン飛び跳ねるように階段を下りていった。おじいさんは一段ずつ両足を踏みしめながらゆっくり。

当然、私はおじいさんを追い抜いて電車を待つべくホームに立った。

女の子はおじいさんを見るでもなくその場でフンフンと何やら歌いながらクルクル回っていた。

そろそろおじいさんがホームに到着すると思って私は振り返ると、女の子がおじいさんに駆け寄って手を握った瞬間だった。

ホームに電車が到着して混雑している中、私は二人を見失った。

電車の中で私は幼い頃の記憶が蘇った。3歳の記憶だから大昔の記憶。私は父と一緒に病院に向かっていた。病院には妹を生んだ母がいた。