大嫌いな奴
カゴメ株式会社
が全国の幼児・児童の保護者を対象に実施した“食生活に関する野菜の好き嫌いアンケート”で嫌いな1位に輝いたのは「ピーマン」だったそうだ。
ちなみに、私は「食べ物に好き嫌いのある奴が大嫌い」だ。
とはいえ、思い起こせば私は「ピーマン」が大嫌いだった。
そんな幼い頃の私に母親は毎日ピーマン宣言をしたことがある。しかし、そんなことでくじける私ではなかった。私は「スライド作戦」を強行した。
「スライド作戦」は全国の幼児・児童には教えたくない。なぜなら、自らが積極的且つ能動的に発想すべき課題だからだ。とはいえ、このブログを読む幼児・児童はいないはずなのでこっそり書いておこう。「スライド作戦」は、以下のように実行する。
おかずの皿からピーマンを箸でつまむ
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ピーマンだけではバレるので、肉もしくは野菜と一緒につまむ
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ご飯の上に乗せる
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茶碗は手に持ってはいけない
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行儀が悪くてもいい(後でしっかり対応する)
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さて、次が肝心だ
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ごはんと一緒に口に入れるふりをして
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あくまでも冷静に
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ピーマンだけを茶碗の手前に落とす
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さらに冷静になる
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できれば行儀が悪かったことを反省する「しまった!」という表情をする
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おもむろに茶碗を手に取る
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茶碗は持ち上げてはいけない
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10ミリくらいでいい
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慌てず、急がず、先ほど手前に落としたピーマンの上に乗せる
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この間、口の中の食べ物を噛む。口の中に食べ物がある時に
次の食べ物を口にしてはいけない、という行儀作法に従うのだ
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食べ物をゆっくり飲み込んでおもむろに茶碗を手にする
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茶碗をテーブルに対し平行にスライドさせる
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そう、ピーマンは私の膝に落ちる
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ここでうまくいったと安心してはいけない
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あと10回以上、繰り返す必要あるからだ
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そこで2回に1回はやらなければいけないことがある
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ピーマンが口に入っているふりが必要だ
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ご飯を噛まずに飲み込む
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そして、直ぐに麦茶を飲む
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その瞬間の表情も工夫した
「スライド作戦」は、2回成功した。しかし、敵は手ごわかった。その後1週間以上、私は泣きながら夕食をとった。しかし、そんな戦いを繰り返す内にどうでも良くなった。敵は私の栄養を気にしていたかもしれないが私は“泣きながらの夕食“が耐えられなかった。
というのも夕食だけの問題ではなかったからだ。
朝食はどうかというと、隣の斉藤君が学校に「行こ~」という声がするまで起きられなかった私は斉藤君がギリギリまで待ってくれる間しか朝食を食べることができなかった。もちろん最後まで食べられない。味噌汁の煮干味が嫌いだったし。母親が叱る声から逃げるようにランドセルをしょって走って学校に行った。
さらに、昼食はどうかというと、
学校の給食も嫌いだった。食べるのが遅くて先生は私が食べ終えるのを見張る。その内、掃除がはじまる…。私は(隠して)残した給食を大切に持ち帰った。その頃飼っていた犬のサリーは好き嫌いがなかったからだ。私はコッペパンやチーズをガツガツ喰うサリーに呆れながら頼もしい仲間が大好きだった。
朝食、昼食(=給食)、夕食も満足に食べられない私は四面楚歌になった。次第に私の腹ペコに好き嫌いはどうでもいいことになってしまった。
話が助長になってしまった。
繰り返す。私は「食べ物に好き嫌いのある奴が大嫌い」だ。でも、“大人になってからも“という条件付だ。
と言い切ったものの、好き嫌いがすべて悪ではないかもしれない。考えてみればアリクイさんは蟻しか食べないのにあんなに大きくなる。さらに牛さんは草しか食べないのにあんなに大きな体になり、おまけにミルクを出し、肉も人間に提供してくれる。ひょっとして好き嫌いは幻想なのかもしれない。