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今日は、電車に乗りたがる末っ子くんのために、家族で電車に乗って出かけました。



目的は



「廃線跡ハイキング」



電車の廃線跡がハイキングコースになっている、とある場所まで出かけたのでした。



枕木の上を歩いて進む、この感じは映画「スタンドバイミー」を彷彿とさせます。



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このハイキングをたっぷり楽しんだのですが、まぁ 子どもたちからは色んな感想が飛び出します。


大人が期待するような声は、全く飛び出しませんよ


それについては 面白いので次回改めて記事にしますね。


今日は、子どもと一緒に山道を歩いて、ふと幼い頃の記憶を思い出しましたので、以前の記事を再投稿させていただきたいと思います。


宜しければお付き合いください。
では その記事はこちらです。↓↓↓




「犬のクマはオオカミ」



野犬の群れに囲まれたことがある人は、犬を見て「可愛い」とは、思えないのではないでしょうか。

 
 
どちらかというと、狼。
野犬の群れは、
 
 
狼です。


 

 「ずっと昔、私が大好きだった犬」のことを皆さんにご紹介したくなりました。


 
 
私が幼稚園児〜小学4年生くらいまでの間、うちによくやってきた犬のことです。
 
 
 
私の母はとっても動物好きでした。

 
 
私がまだ未就園児だった頃、
ある日、母はトボトボ歩いている野良犬を見かけました。


野良犬は以前飼い犬だったようで、首輪をしていたそうです。
 
 
首輪が窮屈そうだったので 母はそっと首輪を緩めてあげました。

 
それが、その犬との出会いだったそうです。
 

 
それから、その犬は我が家に時々やってくるようになりました。
 

 
最初は◯◯ワンチャンという、今では放送禁止的 名前で呼ばれていましたが、それじゃあ可哀想と、皆で「クマちゃん」と呼ぶようになりました。
 


 クマちゃんは 大きな雄の犬でしたが、とてもおとなしい犬でした。
 
 

穏やかなクマちゃんは私たちの前で一度も吠えたことがなかったので、彼の声がどんな声なのか 誰も知りませんでした。



彼の気性の穏やかさは、住宅街でも認められ、うち以外のお宅からも愛されるようになりました。



ご近所でも、


居て当たり前。


居なくても気にならず、


一週間も姿が見えないと心配になる、、、。


そんな不思議な存在になっていました。
 
 
ある日、幼稚園児だった私の愛読書 「いぬとねこのずかん」を姉と2人で眺めていた時、クマちゃんにソックリの犬が載っていることに気がつきました。

 
 
雪の上でソリをひいている犬の写真です。
 

 
「クマちゃんに、そっくり!」
 
 
小学生の姉と目を合わせて、新しい発見をたたえあったのを覚えています。


クマちゃんがソリをひくくらい強い犬なんだ!って なんだか誇らしくなったのです。
 
 
サモエドという種の犬です。


クマちゃんと姿や表情が似ていました。
↓イメージ画像
 

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しかし、クマちゃんは所々に黒い毛が混じっていて、図鑑のサモエドそのものではありませんでした。
 
 
この写真の犬とよく似ていますが、クマちゃんは野良犬。


もっともっと汚かったんです。


毛と毛は 汚れてカチカチにひとかたまりになった部分がありましたし、


時には虫がくっついていることもありました。


最近見かける、美しい大型犬のペットとは全然違います。



近頃は、めっきり見かけなくなった もっと泥くさい野良犬でした。
 
 

幼稚園から帰ってくると、庭でクマちゃんがお昼寝していることも、日常の光景でした。



来ていたら、お腹を撫でてやります。


すると気持ち良さそうに、もっとお腹を見せて催促してきます。そのうちに 眠ってしまうこともしばしば。
 


私は、母に クマちゃんを飼ってあげたい!うちの犬にしたい!とお願いしたこともありましたが、母は言いました。
 



「あんなに自由に生きてるのに?こんなに狭いお庭に鎖でつなぎたいの?」
 

 
、、、。
 
 
、、、。
 
 

返す言葉がありませんでした。
 
 
ペットを飼ってみたいという願望はありましたが、クマちゃんは 野生の犬なんだ、、、。世界が違うのだと。


あっちとこっちの違いを知って、小さな私は妙に納得してしまったのです。


クマちゃんがうちに来ると、時々母は餌をやりました。



ドッグフードではなく。


骨つきチキンの残りモノなどです。


クマちゃんは骨つきチキンの軟骨部に残った肉を骨ごとバリバリと砕いて全て、跡形もなく食べてしまうのです。


そういう姿を見ると、クマちゃんの野生の部分が垣間見えるのでした。


クマちゃんは道端でオシッコをすることはありましたが、フンをしたことはありませんでした。


きっと普段暮らしている場所でしか しなかったのでしょう。


日中は 時折 私たちの住む住宅街へ来て、色んな人に愛され、餌をもらい、夕方になると寝床へ帰っていく生活を送っているようでした。


寝床は、住宅街の程近くの山。


もうすぐ国道が走るようになるためアスファルトが敷かれていましたが、アスファルトの両サイドは少しの畑と野池、手付かずの山がある場所です。


クマちゃんはいつも夕暮れ時には、その山の方へ歩いて行くので、きっとあの山の何処かで毎晩眠っているのだろうと小さな私は想像していました。



その山は、父がよく姉と私を連れて散策してくれた山なのです。


父は、山で大きな枝をみつけて、それぞれの体に合ったサイズの杖がわりにして、持たせてくれました。


父は、ひときわ大きくて太い枝を杖にして、時々その枝は モノを指し示すアイテムとして使われました。

「この木が◯◯の木だよ。」
「これが◯◯の実」

「ほら、あそこにブルーギルがいるぞ!」


落ち葉を踏み踏み進む、父との散策が、私は大好きでした。




その日も、そんな散策をしていたのです。



山道から、少し開けた国道に出る砂利道で事件は起こりました。



野良犬の群れに出会ってしまったのです。


10匹近い犬の群れでした。



とても怖かった。


大きいのから、小さいのまで。


あんなに大きな声で吠える犬を、これまで見たことがありませんでした。


あんなに沢山の犬から 吠えられたこともありませんでしたから。


牙をむいて吠えかかる犬たちは


まるで狼のようでした。



皆、大きな声で吠えながら、ゆっくりゆっくり私達親子に近づいてくるのです。


父は私達2人を自分の後ろに移動させ、守ろうという体制になりました。


怖くて怖くて 父の影に隠れました。


どんどん近づいてくる今にも飛びかからんばかりに吠える野犬たち。




そんな野犬の群れが近づいてくる時の恐怖は、今でも忘れられません。






ところが、、、。





なんとその中に、クマちゃんが居たのです。




父も姉も私も、気づきました。




クマちゃんも ほかの野犬と一緒に吠えていたのですが、しばらくして私たちに 気づいた様子でした。




そこからが凄かったんです!





クマちゃんが  大きくて太い声で一度だけ吠えたのです。





すると 他の犬たちが 一斉に吠えるのをやめたのでした。





クマちゃんは まさかのボス犬だったのです




襲いかかられる恐怖から、一瞬にして解放された瞬間でした。




まだまだ残る恐怖と、信じがたい光景への感動が入り混じり、小さな私の頭は混乱しました。



只々、震えながら「ありがとう!」とクマちゃんに言いたかった。



さっきまで、狼みたいに吠えて襲いかからんばかりだった 野良犬の群れは静かに森の中に入って行きました。



何となく一列になって入っていった後ろ姿、


そして先頭が クマちゃんだったことに 私たちは驚きと畏怖の念を抱きつつ、森を覗き込みました。



でも その時 クマちゃんが振り返って、
私たちに向かってもう一度吠えたのです。


「こっちには来るな。」


そう言ったような威厳のある声でした。





私たちはそれ以上、森の奥を見ないようにして、国道沿いを通り帰路につきました。



あの事件から クマちゃんはもう来なくなるかなぁと 、家族で心配していたのですが、程なくしてクマちゃんは現れました。



これまでと 何ひとつ変わらない、穏やかな面持ちで庭に寝そべっているのです。



私たちは、クマちゃんにお礼を言いました。




「クマちゃん守ってくれてありがとう。あなた カッコイイ ボスだったんだね。知ってるよ。」



そう言って もちろんお腹も撫でました。笑




私は、野犬の群れに囲まれたことがあります。


「犬はどちらかというと狼に近い」と、今でも どこかに恐怖心はあります。


それでも、今、私が犬を可愛いと感じられるのは、クマちゃんのおかげなのかもしれません。


私たちは、クマちゃんの声を 2度しか聞いたことがありません。


でも、どちらの声も格好良かった。


一度めは 「私たちを守る声」、2度めは「野生の世界を守る声」 だったのだと思います。


山道を歩くたびに、思い出す、私の大切な思い出です。


最後まで、読んで下さってありがとうございました。