空気で人を動かす | Tiny Tweaks can lead to Big Changes

空気で人を動かす

「空気」で人を動かす/フォレスト出版

¥1,512
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社員研修や個別にコーチングを行って、やる気が出たように感
じても、翌日になると結局元に戻ってしまう。
多くの方が感じたことがある経験だと思います。

それは個人の資質に問題があるのではなく、場の空気というも
のが影響しています。

やる気のない澱んだ空気の組織では、人を変えようとしてもな
かなか効果は出ません。
逆に、空気が締まった組織では、個人は驚くほど短期間で変わ
ってゆきます。

特に日本人は「空気が読めない」などという言葉があるように、
場の空気に影響されやすいところがあります。

本書では、空気を変える基本テクニックを紹介しています。

①空気に向けて発信する
 まず基本として、空気、つまり場を支配している雰囲気や感
 覚が変わるまで、部下に伝えるべき方針、情報をリーダーが
 発信してゆく必要があります。

 そして、それは具体的な表現にすることが大事です。
 「積極的に、新規開拓を徹底的にやろう」というような、ぼ
 かした表現ではなく、「今期は50社の新規開拓が目標、現在
 の達成率は20社、対策として毎月の会議で進捗報告をしても
 らう」といったように具体的に、なおかつ何度も発信する
 ことが必要です。

 「何度も言ったが、部下が動かない」という人がいますが、
 そういう人たちは、がんばれ程度の曖昧な表現を1.2回言った
 だけではないのでしょうか。

②コーチングではなくティーチング
 「守・破・理」という言葉があるように、まずは徹底的に基本
 を教えることが大事です。
 一流のホテルやレストランでは、規律を守るための教育が繰り
 返し行われています。

 無印良品が業績を伸ばしていますが、かつて同社は各担当が独
 自のやり方を進めた結果、赤字に転落しました。
 無印良品が業績を回復した秘密は、徹底したマニュアルです。
 記憶が曖昧ですが、無印の松井社長は基本が90%以上で、独自
 の工夫はほんのわずかでよい、というような事を言っていたと
 思います。

 ティーチングと言うと、押しつけで自主性を否定しているよう
 な見方をされることが多いのですが、基本が固まっていないと
 ころに自主性はありません。

③正しい承認をする
 常にリーダーが空気に向けて発信を続けた結果、正しい行動を
 した人を認め、ほめるようにする。
 ここで面白いのは、良い実績を出した人ではなく、「あるべき
 姿」と「現状」のギャップ解消に貢献した人を認めるという事
 です。

 空気を変える改革を進めるにつれ、変化に抵抗して現状にしが
 みつこうとする人たちが出て来ます。
 著者は彼らを「不燃人」と呼んでいますが、不燃人は必ずしも
 仕事が出来ないわけではなく、実は優秀な人もいます。
 自分なりのやり方で実績を上げる事もあります。

 しかし、実績を盾にそれを認めてしまったら、空気改革は進み
 ません。そこが治外法権のようになってしまうからです。
 改革を進めるリーダーが承認すべきは、実績をあげている人で
 はなく、リーダーが掲げる「あるべき姿」と「現状」のギャッ
 プ解消貢献した人なのです。

 先にあげた、良品計画が赤字に転落した当時、独自のやり方を
 していた人は、過去実績をあげて、それなりに優秀な人達だっ
 たのではないかと思います。

 では、こういった不燃人はどうするか?
 見て見ぬふり、つまりスルーして良いそうです。
 こういう人達を、説得するにはパワーが要りますし、失敗して
 その人たちが治外法権になってしまったら、他の人にも影響し
 ます。
 彼らはスルーして外堀を埋めてゆけば、自然と同調してゆくよ
 うです。
 不燃人は、ただ燃えにくいだけで、悪意を持ってチームを陥れ
 ようとしているわけではないからです。

これらの事を行ったとしても、最初は相当ギクシャクするでしょ
うし、空気を浄化するには、相当な時間もかかると思います。

しかし、空気が変わる事によって、今まで想像も出来なかったよ
うなアイデアが生まれたり、チーム同士の助け合いが起こるなど、
そこから生まれる効果は計り知れないものになると思います。

私自身、かつて自分のチームを変えようとして、部下に研修を受
けさせたり、自分自身もコーチングを学んだりしたものの、なか
なかうまく行かず苦労した経験があるので、非常に共感を持って
読む事が出来ました。

空気が悪い組織では、まじめにやっている人が馬鹿をみるような
ところがあります。
まじめにやっている人が報われる為にも、空気が浄化された良い
組織にすることが必要である、と強く感じます。