友人が薔薇を持ってきてくれた
長いあいだ
私は 薔薇が好きでなかった
その造形ときたら
あまりに作為的で
虚栄に満ちていると思った
そして
いつだって ツンとすましている
入院してるとき
病院の庭には 幾種類もの薔薇が咲き誇っていた
私は毎日庭に通ったが
かくべつ 薔薇を見るためではなかった
そのうち 丹精している看護士さんと親しくなり
次々と 薔薇の名前を教えてくれるようになった
私のことを 薔薇好きと思っているらしかった
私は驚いた
世の中には
こんなにも 薔薇が好きな人がいるのだ
薔薇に付く虫のことや
選定のことや 名前の由来のことなど
こんせつ丁寧に教えてくれるのだった
病室の窓から その看護士さんのピンクの着衣が見えると
私は急いで庭に向かうこととなった
私は 一ヶ月 薔薇のレクチャーを受け
薔薇を観察し続けた
そして気がついたのだ
差別的で傲慢だったのは 自分のほうだった
薔薇という花の美しさは
やはり
特別なのかもしれないと思うようになった
海ふみこ 2011.11.27