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                        となりに眠ってる猫がいたら
                        それだけで しあわせ
 
                 
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                        考えてみたら
                        何十年ぶりだろう
                        パステルで絵を描くなんて
 

 

海ふみこ 2012.3.3

新車

 
娘が新車を運転して帰ってきた
 
「泣いた?」
買い換えると決めてから
娘は愛車との別れを思って
二度も泣いた
「大丈夫だった」
娘は満面の笑みだ
さっそく私と孫を乗せて
アミ・アウトレットへ出かけた
 
「いいね、いいね」
わたしらは連発した
「見かけないね」
発売されたばかりなのだ
それも嬉しいのだ
 
次の日
いつもの中野行きの電車に乗ったとき
窓の外に目をこらした
丘の上の木立の合間に
チラと茶色い建物が見える
娘の勤務する高校だ
新車は
あの下の駐車場に停まっているはずだ
新入りの一年生みたいにピカピカして
 
それから
きのう車やさんに置いていかれた
前の車のことを思った
肩を落として
しょんぼりしているだろうか
ためいきがでた

 

 

海ふみこ 2012.2.1

   雨ふりの日

 
              きょうは朝からソファーの上で過ごしている
              イケヤで買ったソファーはバカでかい
              伸ばすとダブルベッドになる
 
              ソファーのうえで
              コーヒーをのみ 紅茶をのみ
              ちくわとあぶらげの煮物を食べ
              ゆうべの残りのシチューをすすり
              みかん一個とヨーグルトを食べた
 
              なまけものの私はほんとに嬉しい
              こんな自堕落がほんとに好きだ
              ごろごろしてテレビざんまい
              本を読んではウトウト
 
              言い訳はとってある
              年とったごほうびよ
              病気もちのごほうびよ
              文句ある?
 
              ソファーのそとは
              きようは波立つ海なのだよ
 
              脇で眠っている猫に言う
              流しとトイレに行くときは
              注意深くスリッパに足を入れて
              ソロリソロリと歩くのだよ
              そうすれば沈むことはない
 
              年寄り猫は きのう
              子供におもちゃにされて疲れ果て
              朝から少しも動かない
              片目すらあけず
              海にも全くおりる気がないようだ

 

海ふみこ 2012.2.14