ハケンの仕事がなくなって 仕方なく息子は親の仕事を手伝っている
その やる気のない息子の態度にたまりかねて 父が口をひらいた
父 おまえ いったい何が気にくわないんだ?
息子 べつにぃ
父 べつにじゃない 言ってみろ
息子 ダセーよなあ この頭
父 頭?
息子 てっぺんがペッタンコだ チョーかっこわりい!
父 仕事してる男の頭じゃないか
息子 ふん 地味すぎる 頭ひっぱたかれて穴あけて…
父 穴あけは希望だよ
息子 どこが
父 穴がないと糸が通らん
息子 そんなん知らねえよ
父 硬い革を繋げるんだ しかも手で縫って完成するんだ
そしてトートバッグはできあがる
息子 ふん
父 そこに何が入ると思う?
息子 キョーミねえよ
父 希望だよ 夢だよ しあわせだよ
息子 カンケーねえよ
父 要するに 希望と夢としあわせに深くカンケイしてるってことは
立派な仕事なんだぞ 父さんとおまえの仕事はさ!
父が自信に満ちたまなざしで振り向くと 息子はどこかへ遊びに行ってしまったらしく消えていた
海ふみこ