2024年5月12日山下美月卒業コンサート@東京ドーム

以前よりも乃木坂を見る時間は減ってしまっていたし、山下美月推しというわけでもなかった。

けれども、見届けなければいけないような、ここに行けば見たいものが見れるような気がした。

幸いチケット運に恵まれ、2日目のラストを現地で観覧することが叶った。

「見たかったもの」は見せてもらえたようにおもう。

 

時は遡り、2023年の春。32枚目シングルにて、少なくないファンにとって悲願となる”くぼしたWセンター”が実現した。

表題曲は「人は夢を二度見る」。

振り付けやその他で色々言われる楽曲だったように思う。センターの知名度、詩の内容、NHKの関係的にも紅白歌合戦に最も近い曲だったが、結局その年の大晦日に披露されたのは「おひとりさま天国」だった。

 

「二度夢」に続く33rd「おひとりさま天国」(C:井上和)、34th「Monopoly」(C:遠藤さくら×賀喜遥香)共に”くぼした”シンメは維持された。山下は元々フロント常連であったから、1,2期生が抜けた中で久保が順位が上げた形であった。

 

32nd以降、彼女たち2人の主戦場は乃木坂の外にあったように思う。

山下は、NHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」TBS日曜劇場「下剋上球児」など、5作品連続、約1年半に亘って連続ドラマに出演し続けた。

久保もラジオ「乃木坂46のオールナイトニッポン」は勿論、大河ドラマ「どうする家康」、映画「リバー、流れないでよ」、劇団新感線舞台「天號星」などと、あらゆるメディア媒体に出演した。

勿論、乃木坂全体を見渡しても随一の外仕事量だ。彼女らと同等かそれ以上の表題センターを努めることが出来るメンバーは居ても、この2人以上に外で乃木坂の評価を上げられる者は居ない、といったところだろうか。

 

2024年2月7日。山下美月が卒業を発表。35thシングルでは勿論センターに。表題曲は「チャンスは平等」。

フロント両脇は久保史緒里と梅澤美波。この3名がフロントに揃うのは、26th「僕は僕を好きになる」以来である。

思えば、白石麻衣卒業直後、1,2期生全員卒業直後と毎度難しいタイミングで、楽曲も「分かりやすく跳ねやすい」わけではない楽曲ばかりを与えられていた。それが期待の重さ、でもあったのだろう。

 

卒業コンサートは、東京ドームでの2日間。

直前の山下美月ANNでの、山下にとっての久保評価。

「居心地がすごくいいんだけど、刺激をもらえる。背中を向いているはずなんだけど、頑張り方のベクトルは一緒だなと思うことが多くて、2歳年下だけど尊敬することもたくさんあるし、かっこいいなと普段から思っている。でも大丈夫かなっていう心配の気持ちもある。ライバルという言葉もまた違うような気がして…。本当に戦友というか、一緒に戦ってきたからこそ、ここまでこれたなと思っていて、私はすごい感謝している」

そのアンサーともいえる、卒業コンサート2日目、「言霊砲」曲中での久保から山下へのメッセージ。

「山下のことをずっと尊敬していたし、ずっと大好きでした。あなたほどアイドルとして完璧な人を見たことがないし、そんな山下の隣にいられて、“くぼした”って呼んでもらって、一緒にやっていて本当に幸せでした。これからは背負っていたもの全部置いて、自分のために幸せに生きてください。改めて、ほんとにお疲れ様でした。卒業おめでとう。」

2人とも、心の底から相手の方が格上だと思っているのだろう。久保にとっての山下はアイドルとしての適性とその徹底ぶりで、山下にとって久保は歌唱力、ダンス技術、演技力で。

公共の電波を通してしかお互いに想いを伝えられないのは、ずっと前からのこと。

2人は”ライバル”という言葉にあまりしっくりこないようだけれど、主張している内容はライバルそのものだと私は思う(笑)

 山下が、久保が叶えたかった夢をいつも先に叶え、久保が、山下が先に実現したものを後から彼女以上の実績と評価をもって塗り替える。そんな関係性のようにも私には見えていた。

 

2人にとって大事な曲であろう、「未来の答え」、「不眠症」はしっかりと披露された。

不眠症を踊る久保が清々しい表情だったのが印象的であった。

(「二度夢」はアンコールでの周遊曲だった)

ただ、2人だけで披露する曲、というものは無かった。

 

ライブ最後の、山下へ贈るメッセージが伊藤理々杏なのも良かったなと思う。ここは久保ではないな、と感じた。

やはり”くぼした”は向かい合わせではなく、背中合わせの関係なのだ。

卒業コンサートは、無事に終演した。

 

 

これで、乃木坂46におけるくぼしたの物語はエピローグを迎えた。

山下は芸能界に残るようだし、久保史緒里もいつか乃木坂を卒業をしたあとはきっと女優の道を志すのだろう。

乃木坂の外の芸能界で、2人が共演、いや競演する場面がきっとあるだろう。

そんなシーンを、また見てみたい。

人は、1つ夢を叶えたら、また次の夢を願ってしまう生き物だから。

 

そんな出来事があったなら、自分も項番④の記事を書こうと思いを新たにして、この記事を終えることにする。