今年、アカデミー賞3部門を受賞した 『レヴェナント/蘇りし者』(伊題:Redivivo)。
素晴らしい映像美と少ない台詞のお陰で、イタリア語でも何とか鑑賞できました。
シエナでは、小さな映画館でしか上映していなかったのですが、是非大きなスクリーン・整った音響設備の映画館で観ることをオススメします。
予告編
あらすじ
アメリカ西部の原野、ハンターのヒュー・グラス(レオナルド・ディカプリオ)は狩猟の最中に熊の襲撃を受けて瀕死(ひんし)の重傷を負うが、同行していた仲間のジョン・フィッツジェラルド(トム・ハーディ)に置き去りにされてしまう。かろうじて死のふちから生還したグラスは、自分を見捨てたフィッツジェラルドにリベンジを果たすべく、大自然の猛威に立ち向かいながらおよそ300キロに及ぶ過酷な道のりを突き進んでいく。シネマトゥデイより
極寒の原野で頑張ったレオナルド・ディカプリオ(吐く白い息も本物)
『マッドマックス』の時よりもマッドマックスだったトム・ハーディ(上手い事言ったようなドヤ顔で)
ディカプリオの演技は、凄かったですね!!(小学生のような文章)
鬼気迫る演技でしたよ
話によると、魚やバッファローの生肉を本当に食べた(ディカプリオはベジタリアン)とか、凍りつくような川に落ちて低体温症になったとか、アクションで鼻を折ったとか、かなり無茶なことをやっていたようです。
“オスカーを獲るためだったら、死など怖れない!”と思ったかどうかは分かりませんが。
本作でやれるだけのことは全てやった感じですね(でも正直、前作『ウルフ・オブ・ウォールストリート』の方が凄かった)
過酷な撮影環境だった為、現場もトラブル続きで予算オーバーでスタッフが下りたりとか、大変だったようです。
“どこまでリアリティを追求するか”という問題は、映画では良く耳にすることですけど、実際に荒野や山で撮影すれば面白い作品になるのかといえばそういうわけでもないので、難しいですね。リアリティは追求したけど、面白くない作品だってたくさんあるし。
ただ、本作に限って言えば 大自然でのサバイバルがテーマだし、荒涼とした雪原や原野の風景は役者の演技と相まって素晴らしいです。
ナショナルジオグラフィックみたいな映像美
カメラのことは詳しくないのですが 撮影には超高性能な広角レンズを使用しているので、自然光だけで手前と奥に同時にピントが合い、美しい映像が撮れるようです。大自然の映像を観るだけでも価値があります。
エマニュエル・ルベツキが担当して3年連続の撮影賞を受賞
アメリカの西部開拓時代初期ということで、探検隊と先住民の力関係が間逆で興味深かったです。
レオナルド・ディカプリオ演じるヒュー・グラスという人は実在する人物らしく、クマに襲われたのに良く生還できたなぁ、と思いますね(『ザ・ワイルド』でアンソニー・ホプキンスもクマ退治してたけどあれはフィクションだし)。映画の人物設定やストーリーにはかなり脚色が加えられているようですが、映画なので良いんじゃないかなと僕は思います。
この脚色には、イニャリトゥ監督の死生観やテーマが色濃く反映されていて興味深い。 イニャリトゥ監督の作品には、どの作品にも死の影がちらついているというか。 登場人物の想いとは裏腹に、何の因果か不条理なことが起こって苦しむ展開が多いですね。
メキシコ人の巨匠、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督
アモーレス・ペロス
僕のイニャリトゥ監督作品との出会いは、長編デビューの『アモーレス・ペロス』。 当時、僕は“世界で一番読まれている映画雑誌”がキャッチフレーズのプレミアを毎月購読していました(世界で一番読まれているのに休刊してしまったのは皮肉な話。写真も記事も充実していて好きな雑誌だったのに。。また復活しないかな)。
映画雑誌プレミア。
そこのレビューで絶賛していたので観たのが始まりです。 デビュー作を観た時の印象は
『ジョジョの奇妙な冒険:第4部』より
闘犬の描写を中心に、かなり生々しかった記憶があります。
最後は決して安易なハッピーエンドに着地せず、登場人物が報われないながらも必死でもがく姿が印象的でした。
デビュー作で感じた生々しさや不条理、死生観というものは本作にも受け継がれているなぁと感じました。
大自然と同化するように生き、過去作品以上に生と死の狭間をゆく主人公。
ディカプリオの父親としての台詞は、監督の気持ち(息子さんを亡くしている)を代弁しているようでグッときました。
娯楽大作ではありませんが、映像美とディカプリオの演技を堪能するなら大きな劇場がいいと思います。
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