青色65万控除の効果(2) | 税理士・行政書士ちょうやのなんとなく業務日誌

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(前に書いたやつの続きです。)


もう一つの青色申告のメリットの一つに、青色事業専従者給与があります。これも青色申告特別控除の場合と同様に、事業的規模の場合に限られます。

青色申告者と生計を一にする親子や夫婦など親族が事業に従事している時に、その家族従業員に給与を支払うことができます。(ほとんどのケースは配偶者に給与を支払う形になると思いますが。)
これは、一般的にいうと、所得の分散効果を期待する節税方法です。先ほども説明したように、所得税は累進課税で、所得が増えれば増えるほど、負担が大きくなります。

大きくなった負担は、所得を家族などに移転することで、その分節税できるというものです。


大規模なアパート経営の場合は、個人事業ではなく法人化して経営を行う方法がありますが、それと同じで、その一番のメリットは所得の分散です。法人化とか青色事業専従者給与を利用尾すれば、家族を従業員にして給与を払うことで、結果的に所得の税率を低くすることができます。



青色事業専従者給与は、支払った分がすべて所得から差し引けます。
つまり、その分必要経費が増えたのと同じことになりますが、注意したいのは、給与なのでもらった方に所得税・住民税などの税金が課せられる場合があるということです。


では、いくらの給与から所得税や住民税がかかるのか?ですが、よくパートの103万円の壁といいますが、これは所得税がかからない限度額を指します。
つまり、103万円までは所得税がかからないのです。住民税は自治体によって変わりますが、およそ100万円まで税金がかかりません。

そして、もう一つの注意点。仮に100万円を専従者給与として支払った場合、全額100万円分が必要経費となりますが、節税効果は100万円分ではありません。
配偶者の場合は、配偶者控除38万円がありますが、青色事業専従者給与を支払うとその対象から外れてしまいます。つまり、節税効果としては、100万円-38万円=62万円です。
青色事業専従者給与は配偶者控除との併用はできないので、逆に年間の専従者給与が38万円以下だと、節税効果はなくなるということになります。


ちなみに近時税制改正の検討課題で、配偶者控除の廃止があります。これが決定すれば、青色事業専従者給与の節税メリットが大きくなりますので、来年度以降の税制改正にも注目しておきましょう。


次に、それでは専従者給与の支払額はどう決めればよいでしょうか?
専従者給与の支払額に関しては、限度額は規定されていません。労働実態に妥当性があれば、いくらでも構わないということです。ただし、税務署は、その労働実態を厳しくチェックします。

特に、アパートなどの一括借上げの場合、経営実務はほとんどありません。物件の外構の清掃や経理業務にとどまるでしょう。その場合は、一般的な労働の賃金と比べて高すぎると税務署から指摘される可能性が大きいです。

また、月々の給与を8万8000円以上支払うと、源泉徴収をしなければなりません。
これは、一般の会社が社員に対して、税金を差し引いて給与を支払っているのと同じことです。先に所得税を国に納めるのです。徴収した税金は金融機関等を通じて、原則毎月納めます。そして、年末に精算して払いすぎた税金は、年末調整で申告して還付されます。この経理業務は、いささか面倒です。


さらに青色65万控除の効果としては、
設備投資は、少額減価償却制度の活用が、できます。

そもそも設備投資は、減価償却の対象となります。しかし、金額によって次のような償却方法があります。
■10万円未満の設備投資
一括して必要経費に算入できます。

■20万円未満の設備投資
取得費用が10万円~20万円未満の場合は、定額法や定率法でなく、3年間で均等割して必要経費に計上することができます。

■青色申告の少額減価償却資産は30万円まで一括償却
青色申告をしている場合は、30万円まで一括して必要経費に計上できます。
但し、年間の合計が300万円と限度額が決められています。例えば、30万円の設備なら、10個が限度ということです。この範囲内なら、専用部分の様々な設備投資に対応できるでしょう。ただし、この制度には期限があり、平成28年3月31日までとなっています。

設備投資の場合は、仮に所得税率が40%の場合は、住民税10%と合わせて50%の節税効果があります。つまり年間100万円の設備投資をしても、必要経費で50万円を税額から控除できるため、結果的に半額の50万円でできたということになります。これは、投資効率としてはかなり良いほうでしょう。
ただし、青色申告特別控除や専従者給与と違って、支出を伴います。むやみに行うのは採算面で効率が悪くなりますので、あくまで競争力強化のための投資と考えたほうがよいでしょう。