優越感 | SLYstyle

優越感

電車の中でお爺ちゃんが足が不自由な女の人に話し掛けていました







『彼氏は居るの?』





『今に出来るよ。男をちぎっては捨て、ちぎっては捨て。今にそうなるよ』








車椅子の女性は明るく受け答えをしていました









車両の端の方から




『迷惑なじーちゃんだな』と思っていた僕







僕なら困るからそう思った。





電車の中で大きい声で話し掛けられ、人に注目される。冷たくあしらえば悪者になるし、話に付き合っていても笑い者になる








ましてや、車椅子の女性は変に注目されたくないだろうという思いもあった








僕は心のどこかで、一番嫌な顔をしていたのだと思う







『普通にしよう』と構える事が一番普通ではない







車椅子の人は駅員の補助のもと、電車に乗る








僕ならその瞬間、乗客が目を向けてくる事に耐えられないと思う








だから僕は見ない








けれど、奥底を見ればそれが一番失礼な事なのだ







普通の事を普通の事として受けとめていない







気兼ねなく声を掛けるお爺ちゃんは、一番車椅子の女性を傷つけていないのかもしれない







僕ならきっとひきこもると思う







人の目を気にしてひきこもると思う








僕はお爺ちゃんが話し掛けている場面を見た瞬間、心の中で二人を見下していたのかもしれない








『かわいそう』






とね








何も可哀想なんかではない







皮肉を言えば、そんな事に今まで気付かなかった僕のほうが可哀想だと言われても仕方がない