声帯の伸展と収縮の仕組み | 枠組みをまとめる ~理論から実践まで~ 今はボイトレ

枠組みをまとめる ~理論から実践まで~ 今はボイトレ

発声好きの一般人がテーマにそって枠組みを考えて紹介していきます。

今回は、筋骨格の観点でに声帯の伸展と収縮を説明していきます。

まず、声帯のケースとなる軟骨を紹介しましょう。
声帯は3つの軟骨で作られる喉頭の中に入っています。


喉頭の軟骨
(うたうこと 発声器官の肉体的特質―歌声のひみつを解くかぎ/音楽之友社から引用)

(この本は近代歌唱訓練の基礎となっているフースラー歌唱訓練法について書いてあります。また、近代では稀な生理学の観点から発声を考察した書籍でもあります。興味のある方は是非読んでみてください!)

声帯は前方が甲状軟骨後方が披裂軟骨に付着しています。
声帯の状態はこの3つの軟骨の位置関係によって調整されています。


さて、今回の伸展収縮の説明です。

伸展とは声帯の両端を引っ張ることで
他動的に張力を上げることです。


分かりづらいのでイメージ図を載せます。

声帯の伸展
(吟剣詩舞音楽 on STAGE吟唱の為のヴォイス・トレーニングから引用)

甲状軟骨輪状軟骨を繋ぐ輪状甲状筋が収縮することで
甲状軟骨披裂軟骨が遠ざかり声帯が伸展します。

立体的で難しいですが
甲状軟骨 声帯 披裂軟骨 後筋 輪状軟骨 前筋 甲状軟骨
という順で繋がっています。

甲状軟骨前屈(前に倒れる)または輪状軟骨引き上がることによって声帯が進展します。

喉ニュースこの記事の図がイメージしやすいです。
(會田茂樹さんの喉ニュースは数年前から愛読しています。本人もおっしゃるように疑似科学的な側面が多いですが、実際に多数の喉に触れており感性の豊かな方です。また、解剖学や運動力学的な知見が非常に素晴らしいです。)

声帯の伸展には前筋(輪状甲状筋)の収縮が支配的ですが
外喉頭筋によっても甲状軟骨と輪状軟骨の位置関係が調節されます。

ただ、後筋が適度に収縮していないと張力が声帯に伝わらず
前筋が収縮していても伸展が上手く起こらない場合があります。


次に収縮について
声帯の収縮とは声帯筋自体が収縮することで
能動的に張力を上げることです。


こちらは分かりやすく声帯を構成している内喉頭筋のうち
声帯筋内筋(甲状披裂筋)が収縮することで起こります。

内喉頭筋
(Frank H.Netter (著), 相磯 貞和 (訳), 「ネッター解剖学アトラス」より引用)

この2つの方法で声帯は張力を増してより高い音が出せます。

「張力が倍になれば音程も倍になるのか?」
といった単純な話ではありませんが、声帯の張力が増すことにより変形に対する復元力は大きくなります。これにより、呼気から受ける力による変動は小さくなり、開閉運動の周期も短くなります。

低音高音のときの運動を変化をイメージするには喉頭ファイバー映像を見てみるのが良いと思います。

この動画では声帯の粘膜層が下部上部に分かれて運動していることや高音になるほど声帯が伸びていることが確認できます。
0:18~0:50はスロー再生なので実際の動きがきちんとわかりますが、それ以降だとリアルタイム再生なので30fpsの動画では動きがコマ落ちしてよく分かりません。


・余談

伸展の場合は声帯は薄く長く変化します。
収縮の場合は声帯は厚く短く変化します。

それぞれが音声にどう影響するかを断言はできませんが、一つ経験的に言えることは高音では収縮<伸展を意識しないと開閉運動が阻害されるのか、綺麗に発声ができないようです。

キンキンした高音や呼気で絞り出すような高音に関係しているのかも?