サロメ・ウィンダミア卿夫人の扇 (新潮文庫)/新潮社

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不気味な世界。人間の欲望と狂気が入り混じる。
それは、到底理解できないものなのだけれど、どこか他人事と思って傍観できない何かがあるのは、恥ずかしげもなく欲望をむき出しに出来てしまうサロメに対する羨望か。
だって、欲しいものは何か、と聞かれて「(自分が一目ぼれした)男の首」と答えるなど、理解できないでしょう。
サロメが欲しかったのは、ヨカナーンの心でもなく、彼と恋人として過す時間でもない。
望んでいたのはヨカナーンを征服することだったのか。
預言者ヨカナーンの言葉が何とも妖しく響く。
サロメは彼の姿を目にする前から彼の虜になっていた。
その言葉、その声に魅かれていた。
なんだかそこだけは共感してしまった。
変わり者に魅かれるところ。
危険な人物だ、と周りに止められようと、彼のことをもっと知りたい、と自ら突き進む積極性。
サロメはなんと強い女性なのだろう。
でも、それが恋ならば、もっと甘いものがたりになるのでしょうよ。