「リュミエール!」(2018)

個人的満足度(五つ星)

★★★

 

 最初の映画と言われるシネマトグラフをつくったリュミエール兄弟。この「リュミエール!」は彼らの作った映像作品(ひとつが50秒)を10個ほどのテーマに分けて、ナレーション付きで95分間ひたすら紹介し続けるというものです。元の作品はサイレントなので、バックミュージックでクラシック音楽が流れるのですが、これがいい感じで眠気を誘ってきます(笑)。リュミエール兄弟についてのドキュメンタリー的な要素はナレーションでのある程度のもので、基本は作品の羅列となるので、リュミエール兄弟の作品が好きな人にはたまらないと思いますが、一般的な目線で見るとちょっとマニアックなものになってしまっているかなと思います。

 

 それでも個々の作品はやっぱり興味深いものが多いです。観ていて感じたのは、「映像」というメディアが持つ生生しさ。今回デジタルリマスターされている関係で、画質がめちゃめちゃ良く、古い映像にも関わらずリアルな臨場感がありました。ドキュメンタリー的なものばかりではなく、かなり演出の手が入った作品も多いのですが、当時は50秒間しか撮影できなかったということで、出演者の緊張がこちらにも伝わってくるものも多かったです。風景映像もいくつかあり資料としての貴重さも感じられました。個人的に特に印象に残っているのは、リュミエール兄夫婦と赤ん坊の様子を弟が撮影している映像。プライベートな映像から家族の幸福が伝わってくるようでした。