「パーティで女の子に話しかけるには」

個人的満足度(五つ星)

★★★★

 

 予告編だけの前情報で観ました。映画のテイストは予告編の感じでしたが、物語は予想とちょっと違う方向に転がっていって、意外性がありました。

 ストーリーの舞台は70年代のイギリス。パンク音楽とイラストを描くのが好きな少年エンが、どうやら宇宙人らしい集団のパーティーから逃げ出した女の子ザンに出会い、彼女と心を通わせていく内に宇宙人たちの秘密を知っていくというもの。宇宙人の少女役は話題作に続々出演しているエル・ファニング。今回は、これまでとはまた違う彼女の演技の一面を見ることができ、ここだけでも大きな見どころになっていると思います。あと面白いのが宇宙人の演出。VFXはほとんど使われず、ビニールの服を着て不可思議な動きをするだけというチープさですが、これに意外にも不思議な迫力があって、時には恐怖さえ感じさせるほどでした。かと思えば笑える場面も多く、独特な楽しさのある作品です。

 

 

〈以下、ネタバレあり〉

 

 

 観終わって強烈に印象に残っているのは、やっぱり宇宙人たちのパーティーシーンですね。最初はなんか安っぽい感じだなぁと思っていたのですが、エンたち男子3人組のひとりがうまいことセックスしていたらとんでもないことになったりとか、不意に不気味な雰囲気になるのが絶妙に怖くて面白かったです。あと3人組のもう一人ですが、乳首が3つあるって、本当にあるのかよ!とびっくりしました(笑)。宇宙人周りだと主人公が夢っぽく見る、お口アングリシーンも超怖かったです。そんな中で赤い服の人達の「壁」とか、オフビートに笑えるポイントもあったのが良かったです。

 結局宇宙人たちには親が子供を食べるという規則?があったという展開。リーダーっぽいじいさんのいう理屈は自分にだけ都合よい感がむんむんで、いやな感じでしたね。

 

 あと良かったのが、ライブシーン。エル・ファニングのパンクス振りが意外とはまってて最高でした。ザンとエンが即興で歌う歌のだんだんエモーションが高まってくる感じとか、理屈はわかりませんがアガりました。

 

 タイトルからはもっとラブストーリー的なものを想像していましたが、そこは思ったほどではなかった感じ(デートシーンを観たらトマトが食べたくなりました)。ジョン・キャメロン・ミッチェル監督の映画は観たことないですが、今回の作品に関していえば良い意味で洗練され過ぎていない感じというか、「普通の」「上手い」映画とはちょっと違うタイプの独特なノリだなと思いました。それもあってかザンに恋する主人公の心情に深く感情移入するまでは個人的にはいかなかったですが、最後の別れのシーンは光の演出の美しさもあって心に残りました(なんていうことない団地の建物が本当に美しく感じられるのが良かったです)。