「キングスマン ゴールデン・サークル」

個人的満足度(五つ星)

★★★

 

 スパイ・アクション映画「キングスマン」シリーズ第2弾。監督も前作に引き続きマシュー・ヴォーンです。今回の第2作は簡単に印象を言うと、「ストーリーは脇に置いておいて、とにかくアクションシーンのアイデアを詰め込んだ」と言う感じ。主人公が階級という壁を乗り越えていく成長物語として、ストーリーに一本筋が通ってうまくまとまっていた印象の前作と比べると、本作の物語はかなりとっ散らかっているというかほとんど重点が置かれていないように思えました。その代わりに、とにかく派手で目まぐるしいアクションが連発されます。それはそれで楽しいのですが、自分は観終わって結構疲れてしまったレベルでした。

 

 

〈以下、ネタバレあり〉

 

 

 序盤、ロキシーやせっかく出てきたマイケル・ガンボンがすぐに死んでしまったのは残念でしたが(前作でもリーダーが敵に寝返ってましたし、キングスマンは毎回組織存続の危機に立たされますね)、ハリーの復活はやっぱりテンション上がりました。前作では結局ハリーとエグジーは一緒に戦うことがなかったので、クライマックスでの二人の息の合ったコンビプレイにもグッときたし、なかなか楽しいシーンになっていると思いました。

 ただ、そこに至るまであまりにも大量のアクションシーンを観ていて、終盤はちょっと疲れてしまっていたのが残念。基本ご都合主義な上に、世界各地を飛び回って派手なことをする割には、やってることが行き当たりばったりで話が前に進んでいなかったりすることもあり、全体的に物語がたるんでしまっていた感はぬぐえないです。勝手な想像ですがマシュー・ヴォーンは自分が思いついたアイデアの数々を捨てきれなかったのかな…、と。

 ステイツマンの面々も、豪華俳優陣の割にはウイスキー以外はあんまり活躍しなかったので残念。ジンジャーがエージェントになるサイドストーリーも、とってつけた感が強かった気が…。でも、麻薬ウイルスの作用でハイになって踊るチャニング・テイタムとかいろいろ可笑しなところもあってなんだかんだ良かったです。

 敵役のジュリアン・ムーア。クレイジーな感じが出てて良かったですが、結局何がしたかったのかはあんまりわかりませんでした。ラスボスはウイスキーでしたが、ハリーがなぜそのことを見破れたのかについてもう少し説明が欲しい気もしました。

 あと、マーリンも死んでしまいましたね…。あの自己犠牲シーンでは「カントリー・ロード」が流れたのもあって、結構感傷的な気分になりました(ただエグジーは地雷探知機持ってたんだから、もう少し気をつけろとも言いたいです)。

 ということで、前作と比べるとどうしてもストーリーは食い足りないし、ここぞというところのアクションシーンのカタルシスも劣る気がしますが、やっぱり出てくるキャラクターたちは魅力的だし最後にハリーが言うセリフも(続編へのフリかもしれませんが)なんかいい言葉だなと思ったので、楽しかったです。