反抗期の子どもへの怒り、どう制御すべきか 「プッツン」「ムカッ」を解消する8つの方法 | 難波のslowhandが物申す!

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北海道の男児置き去り事件は、事態を招いた保護者に強い批判が集まったが、同じ親の身としては色々と考えさせられるところがあった。悪いことをした子供に対して、「しつけ」をしなければならないという親の気持ちは世界共通のものだろう。しかし、正しいことを教えるはずのしつけが、いつの間にか「正しくない」しつけにすり替わってしまうことは少なくない。

確かに、今回のケースでは親の状況判断が甘かったのは事実だが、時に「デーモン」化する子供に対し、「プチッ」と脳の回線が切れる経験をしたことがない親はあまりいないのではないだろうか。

かくいう筆者も「プッツン」「カチン」「ドッカーン」の感情に悩まされてきた一人。どうしたら、間違った「しつけ」から脱し、「正しい諭し方」ができるのだろうか。今回は、「怒りまん延」時代を生き抜く知恵として、どなたにも役に立つ「怒り耐性の高め方」をご紹介したい。

■母親が一方的に悪いのか?


「言うことを聞かない子を、一瞬でも置き去りにしたいという衝動に駆られたことはないか」と問われれば、筆者も否定はできない。突然癇癪をおこして、泣きわめいたり、反抗したり、子供はとかく思い通りにはならない。そんな時、聖人君子のように穏やかにふるまえればいいが、「じゃあ、ママは知らないから」と先に歩いて行ってしまう「プチ置き去り」も、「いい加減にしなさい」と怒鳴ってしまったこともある。

先日、読売新聞のお悩み相談コーナーに登場した女性の投稿がネット上で話題になっていた。相談者は高校生の娘と中学3年生の息子を持つシングルマザー。自分でしっかり勉強する娘に比べ、部活を辞めさせられ、ゲームばかりする息子に対する怒りが抑えられず、ケンカを繰り返し、ついには「こんなクズ、産むんじゃなかった」といった言葉を浴びせてしまう、といった悩みだった。

これに対して、回答者は「(母親の態度は)尋常ではない」「息子に謝って」と母親を強く糾弾。この意見にネット上の多くの人が同感し、母親を一方的に責めたてる論調が満ちあふれたが、一連のやりとりに、反抗期真っ盛りの中学男子を持つ筆者は複雑な心持ちにならざるを得なかった。

確かに絶対に言ってはならない言葉ではある。ただ、周囲の(特に男の子の)母親に聞いても、「そういう思いを瞬間的にも全く抱いたことはない、と言えばウソになる」と言う人は少なくない。「思わずキレてしまいそうになるので、刃物を近くに置かないようにしている」と言う人さえいる。それほど、中学男子は「クソ」だったりする。暇さえあれば、ゲームにうつつを抜かし、注意をすれば、激しく口答え。何かというと、周囲の人のせいにする、忘れものが多い、部屋が汚すぎる……。

数え上げればそのダメダメぶりはキリがないが、口にしないとしても、本当に「どうしようもない」と絶望感にとらわれる母親は少なくないはずだ。

更年期真っ只中の母親と中二病真っ盛りの息子の繰り広げる我が家の「ホルモンバトル」は、まるで発情期のオスネコ2匹の戦いのような地獄絵である。そんな戦いに疲れた筆者は、はたと考えた。このままでは親子共倒れになるのではないか。「あらゆる悩みは対人関係の悩みである」と今はやりのアドラー先生もおっしゃっているが、その対人関係の悩みのほとんどはコミュ力で解決できる、と説く筆者である。ここは、「コミュ力」で解決の糸口を探したい、と考えた。

■我が家の「コミュ力実験」で効果があったこと

そこで、海外の教育学者や心理学者の文献を色々と読みあさるうちに、腑に落ちる気づきがいくつもあった。あらゆる価値観のぶつかり合う昨今、腹が立つことも増えたという人も多いだろう。怒りを抑え、インナーピース(心の平穏)を実現する方法とは?我が家の「コミュ力実験」で、実際に効果があったアドバイスを紹介しよう。

①怒りをぶつけても得るものは何もない

今回の「実験」の最大の発見は、「怒りとは(怒りをもたらす相手に)報復や制裁を求める気持ちである」ということだった。これは多くの学者、さらに古代ギリシャの哲学者アリストテレスも唱えていることだ。そもそも、筆者が息子を怒るのは、彼に、自分の間違えを自覚してもらいたい、改めてほしいという思いからだった。

つまり、利他的な思いから仕方なく怒り、物事をただすのだと思い込んでいた。しかし実のところ、怒りとは「自分を理不尽な思いにさせた相手を見返すのだ、復讐するのだ」という利己的な思いである、というのだ。「怒りをぶつけること」は自分を利することを目的とする行為である、という悟りは筆者にとっては衝撃的なものだった。

②怒ることは事態を悪化させる 

感情的に怒りをぶつけることは相手に戦闘を挑む行為だ。動物の脳はそもそも、相手に攻撃されたら、防御するか、反撃するようにプログラミングされている。怒りの応酬は燃料投下を続けるだけの行為であり、そこで相手を説得したり、理解を得ることは難しい。結局、埒があかない、ずぶずぶの泥沼状態に陥っていくだけなのだ。むやみに怒って得られるものはなにもない。

③怒ったら負け 

例えば子供の文句に対して、論破しよう、説得しようと、怒って叫び返すことは、子供と同じ土俵に自分も立つ、ということを意味する。相手の挑発にのって、リングに立つようなものだ。子供は親を自分と同格のものとみなし、畏怖は消える。尊厳は失われ、権威として従うものだという意識もなくなる。つまり、優位性をすべて投げ打ってしまうということだ。怒りの応酬に陥ることは負けを意味する。

■サンドバッグや枕を殴りつけても怒りは収まらない

④怒りは溜め込んでも、ぶちまけてもいけない

かといって、怒りを溜め込めということではない。我慢しろ、ということでもない。溜め込めばマグマのようにいつか爆発するかもしれない。ただし、ぶちまけることはおススメしない。サンドバッグや枕を殴りつけても、怒りは収まるどころか悪化する。どこかのサイトに憤りをぶつけても、解決策にはならない。

⑤怒る時と方法を選ぶ

「怒り」そのものは人を動かす大きなエネルギーになることもある。革命を起こす力にも、社会を動かすエンジンにもなる。「怒り」の感情を否定するわけではない。問題は恒常的に「ガミガミ」とヒステリーを起こしていては、怒りを効果的なエネルギーとして昇華できないことだ。例えば、100回怒りを感じるとしたら、その中の1回ぐらい、本当に重要な場面に限って、「怒り」を表に出してもいい。ただ、その際も、ヒステリックに叫ぶのではなく、低音で、相手がビビるぐらいの威圧感を持って、手短に明確にメッセージを伝えることを心掛けるといい。

⑥クールダウンする

怒りを感じたら、(子どもを見失わない範囲で)、いったん、その場を離れる。不愉快なネットのニュースだったり、怒りオーラを発している人だったり、ネガティブエネルギーを発する物体や相手からとりあえず、物理的に距離を置く。その場にとどまり続けることは怒りの蟻地獄に身を任せるだけである。

⑦ストーリーを書き換えてみる

例えば、この「相談者」の人生を想像してみよう。シングルマザーでありながら、娘を大学にやろうと必死に昼夜問わず、汗水流して働いているのかもしれない。息子には幸せになってもらいたいと、心配ばかりしているのかもしれない。サービスの悪い店員がいたとしよう。普段は問題ない働きぶりなのに、その日に限り、飼っていた猫が病気になり、心配でたまらなく上の空だったのかもしれない。そう考えると、「自己中心的な母親」や「怠惰な店員」といった、最初の思い込みとは違ったストーリーが見えてくる。

ティーンエージャーの脳は未発達で、親や本人が思っている以上に、「不完全」なものだ。彼が意図しているわけでなくても、「脳」が怒りを正当化し、人のせいにするように作用しているのかもしれない。このように、自分で想像して描いた「ストーリー」を「相手に対する思いやりのストーリー」に書き換えることで、怒りは和らげることができるものだ。

⑧相手を責めるのではなく、自分の思いを伝える

カッとなって、相手をなじる、傷つけることが怒りの最も恐ろしいカタチだが、相手を責めたてるのではなく、自分の気持ちを素直に伝える事の方がずっと説得効果は高い。

偏食の息子は、弁当に全く口をつけずに帰ってくることがある。「食べなさいよ」「なんで食べないのよ」と問い詰めても、弁解もなく、「うるさい」と言うだけ。そんなことをこぼしていると、夫が「君が○○○すると、ママはXXXという気持ちになるのよ」と諭してごらん、とアドバイスをくれた。

そこで、「□□くん、ママは愛情をたくさんこめて、毎日お弁当を作っているのよ。食べてくれないとママはそういう思いが受けてもらえなかったのかな、と思って、本当に悲しくなるのよ」と言ってみた。

そうすると、「あ、ごめん。分かった」と超素直な反応が返ってくるではないか。夫曰く、男性は人の気持ちが読めない人が多いので、「(相手が)こういう思いをしている」と伝えられると、びっくりして自分の間違いに気づくのだという。これは目から鱗の発見だった。

■「怒り」を排除して穏やかに語ると効果絶大

以上の「実験」の結果、筆者の「ヒステリー体質」は劇的に改善された。「怒り」を排除して穏やかに語れば、素直に耳を傾けてくれ、「話し合い」もできるようになり、お互いのストレスもかなり軽減された。

とはいえ、息子は相変わらずの能天気だし、ずぼらぶりも大して変わっていない。とりあえず、「正しくないしつけ」から脱却するのが第一関門。次は、息子君のやる気をどう引き出すかが大きな課題だが、これは、ダメダメ部下の蘇生法スキルとして使えるに違いない。コミュ力修業を重ねることで、さらなるヒントを探していきたい。