一方、昨年4月にゼロを達成した“元祖”横浜市はゼロ効果で申込者が増え、認可保育所への入所を希望しながら入れなかった「保留児童」も大幅に増えた。林文子市長は「より多くの女性が子育てしながら社会で活躍しようと一歩を踏み出したことの表れ」と前向きにとらえるが、2年連続のゼロ達成は厳しい見通しだ。同市の隣、川崎市でも昨年就任した福田紀彦市長が来年4月でのゼロを目指し、最重点課題として取り組んでいる。
ゼロ達成にはさまざまな課題が山積しているが、保育・行政関係者が声をそろえるのは深刻な保育士不足だ。乳幼児の“命”を長時間預かる責任の重さや体力的なきつさもあり、結婚や出産を機に退職してしまう女性が多いのも一因だろうが、保育所の取材や実体験を通して感じているのが男性保育士の少なさだ。
ある男性保育士は「就職活動では10社以上から『男性は募集していない』と断られた」と打ち明ける。就職した最初の保育所には男性用更衣室がなく、肩身の狭い思いをした。「男性に娘のおむつを替えてもらうのは嫌」と訴える保護者もいるという。
厚生労働省の調査では保育士の平均年収は300万円台で、一般的な企業に比べて昇給も緩やかだ。「若い頃はいいが、将来妻子を養う大黒柱としてやっていくには…」との声は多い。保育士全体の処遇改善は無論、男性が誇りを持てる職場環境づくりが男性保育士の人数を増やし、ひいては待機児童解消にもつながるのではないか、と思う。