新型コロナの感染症法上の位置づけについて、
岸田首相が原則としてことしの春に季節性インフルエンザと同じ
「5類」に移行する考えを明らかにしました。
これは本当に大きな変化のようです。
「5類」になると緊急事態宣言やまん延防止等重点措置は出せなくなります。
感染者や濃厚接触者への「行動制限」もできなくなる。
そして、マスクの着用は屋外だけでなく、屋内でも原則求めない方向で
検討するそうです。
具体的な移行時期は4月1日か5月1日の方向で検討されているということなので、
大型連休の時期には「屋内でもマスクを外せる」ことになりそうです。
「人の表情が読めない」風景が変われば、
新型コロナに対する世の中の受け止めもかなり変わり、
解放感が広がっていくことでしょう。
そういえば、「表情のインパクト」が歌詞にあったな・・・・
ということで取り出したのがアン・バートン(vo)の「ブルー・バートン」です。
アン・バートン(1933-1989)はオランダ出身で、ヨーロッパ・アメリカで活動しました。
情感豊かな歌唱は日本人にもしっくりくるところがあったのか、
何度か来日して日本人ミュージシャンと作品を制作したこともあります。
「ブルー・バートン」は1967年に録音された彼女のデビュー作。
「歌詞で歌を選ぶ」と言われるだけあって、メッセージ性の強い曲が並んでいます。
アルバムのラストを飾るのは「サニー」。
ソウル歌手のボビー・ヘブが作った曲で、歌詞の中にこんな一節があります。
Sunny
Yesterday my life was filled with rain
Sunny
You smiled at me and really ease the pain
「サニー」は太陽のような輝きのある恋人、といったところでしょうか。
「雨模様の生活」だったのに、あなたの微笑で自分の痛みは癒された、という内容です。
「スマイル」には人の心を揺り動かすパワーがあるー
そんなストレートな歌詞をバートンはしっとりと歌い上げ、見事なジャズにしました。
1967年の録音。
Ann Burton(vo)
Louis Van Dyke(p)
Jacques Schols(b)
John Engels(ds)
Piet Noordijk(as)※2曲のみ参加
①I Can't Give You Anything But Love
よく知られたスタンダードで、軽快なテンポで演奏されることが多いと思います。
アン・バートンは意外なことに、非常にゆっくりとした展開にしました。
まず、あまり歌われることのないヴァースから入ります。
ピアノとヴォーカルのみでじっくりと落ち着いて語りかけてくる声。
まるで劇中のセリフのようです。
これが本編での「高いものは買えないけど、愛はあげられる・・・」
という内容の歌詞と見事につながっていきます。
ピアノ・トリオをバックに過剰な感情を排し、
一つ一つの言葉を大切にする歌唱は唯一無二のものと言えるでしょう。
相手に呼びかける「my baby」というワードまで
彼女の語りかけで忘れられない印象を残す、
「静かだがドラマチック」な歌唱です。
⑨Sunny
こちらも冒頭はピアノとバートンのみ。
「Sunny・・・」という呼びかけが少し切なく響きます。
そこにリズム陣が加わると、テンポが上がりアンの歌唱に変化が生まれます。
「Sunny・・・」に快活さが加わり、
聴き手としては穏やかな幸福に包まれているかのような感覚を覚えます。
先に紹介した「スマイル」のくだりから
「暗い日々が去り、輝かしい日々(bright days)がいまここにある」
といった歌詞が抑制された歌声で、しかし揺るぎない存在感で提示されると
「生きてて良かったなぁ」と思います。
アンの歌唱からピアノ~ベースのソロに至る静かな流れも
この曲にぴったりです。
他に⑧In The Wee Small Hours Of Morning も
朝のほの暗い光景が浮かんでくるような見事な歌唱です。
「5類」への移行があった時、マスクのない風景が広がっていくでしょう。
一方で、コロナに感染すれば重症化するリスクがある人たちは存在し続けます。
本日、コロナで亡くなった人は全国で398人。第8波の中でまだ高い水準です。
感染者が他の人に感染させない行動をとったりするなど、
最低限の「エチケット」は必要です。
これが「行動制限」ではなく「エチケット」レベルになることは喜びつつ、
「優しさ」もマスクと共に取り払わないようにしたいものです。


