きょうから来月11日までの期間、
東京・大阪・兵庫・京都の4府県を対象にした緊急事態宣言が出ました。
私の住む東京都では3回目の緊急事態宣言となりますが、
今回、衝撃的だったのはかなり強い措置に踏み込んだことです。
「酒やカラオケを提供する飲食店などに対する休業要請」はその最たるものでしょう。
この頃、流行りの(?)路上飲みに対する自粛の呼びかけを
東京都の職員が行うようにもなりました。
変異ウイルスの感染者が急増する中で、このまま放置しておけば
医療の現場で「命の選別」が始まっている大阪のような状況が各地に広がってしまう。
危機感が大きいのは分かりますし、
協力して感染者を少しでも減らさなくてはいけないのでしょう。
ただ、実際に効果を生み出すために欠けているものがあります。
それは「リーダーのモラル」です。
23日(金)の菅首相の会見では感染拡大に関する謝罪こそあったものの、
「国民の命を守ることよりも東京五輪開催が優先されていませんか」という問いに対しては
以下のような答えでした。
「東京オリンピックですけれども、
これの開催はIOC(国際オリンピック委員会)が権限を持っております。
IOCが東京大会を開催することを、既に世界のそれぞれのIOCの中で決めています。
そして、安全安心の大会にするために、東京都、組織委員会、そして政府の中で、
感染拡大を防ぐ中でオリンピック開催という形の中で、
今、様々な対応を採らせていただいています」
(首相官邸HPより)
感染拡大の中で開催の可否をIOCに「丸投げ」してしまうというのは、あまりにも無責任です。
何というのでしょう、社会を守ることに対しての「他人事」感というのが強烈で、
我慢しようとしている国民としては無力感を覚えます。
また、大阪府の吉村知事が「医療体制は限界だ」という発言を
繰り返していることにも違和感を覚えます。
早々に前回の緊急事態宣言を解除する動きを見せたのは吉村知事ですし、
その判断によって失われている命があることの「痛み」を示さずに
「やってる感」を出しているのはどうしたことかと。
これでは路上飲みでもして気分を晴らしたくもなります。
せめて「社会を守る」というリーダーの役割を背負って、「当事者」として語ること。
そして、「国民に痛みを求めている責任を取る」覚悟を示すこと。
これぐらいはするべきではないでしょうか。
落胆するような事態を前に、「当事者」として他者と深く関わっているジャズを聴きたくなりました。
ケニー・ドリュー(p)とニールス・ヘニング・エルステッド・ぺデルセン(b)の「デュオ2」です。
ケニー・ドリュー(1928-1993)はアメリカ・ニューヨーク出身ですが、
活動の場を求めて1961年にパリ、1964年からはデンマークのコペンハーゲンに居住しました。
ブルース・フィーリングを持ちつつ、優美さがあるドリューのピアノは
ヨーロッパの人たちに響いたのだと思います。
ニールス・ヘニング・エルステッド・ぺデルセン(1946-2005)は
デンマーク出身のベーシスト。
超絶技巧を持ち、メロディを弾かせても一級品です。
この2人が組んだ作品には1973年に録音された「デュオ」がありますが、
こちらではギターが加わった曲もありました。
「デュオ2」では2人だけの編成となり、互いの関与がより密接になっていると感じます。
穏やかで品のいい曲が多く、これから迎える大型連休に家で聴いてもいいのではないでしょうか。
1974年2月11~12日の録音。
Kenny Drew(p)
Niels-Henning Orsted Pedersen(b)
①Jeg Gik Mig Over So Og Land
tradという表記があるので、北欧のフォークソングではないかと思われます。
まず、ベースが単独で軽快にメロディを奏でます。
ぺデルセンの指裁きはスムーズでベースが実によく「歌い」、
まるでギターのようでもあります。
ドリューが加わってリズムをつけると、そのままぺデルセンのソロとなり、
そのスピードは驚異的に増していきます。
こうなるともう止まらず、水が湧き出すように次から次へと
躍動的なフレーズが飛び出してきます。
どこか童謡的な穏やかな曲想と「動」の世界が見事に混ざり合った1曲です。
⑦You Don't Know What Love Is
おなじみのスタンダード曲。
ここではドリューのピアノが非常に美しい。
ゆっくり、一つ一つの音を置くようにピアノでメロディが提示されていきます。
その凛とした佇まいが素晴らしいのに加えて、その裏で淡々と正確なリズムを刻む
ぺデルセンのさりげなさにも強く惹かれます。
この2人の組み合わせでなければ、ここまで哀感がある完成した
メロディにはならなかったでしょう。
続いてドリューのソロへ。
底にはダークな色彩を帯びつつ、選び抜いた音が放たれる秀逸なソロです。
ここではぺデルセンのベースも躍動感を増し、ドリューの口数少ない音を
強力なスイングで支えています。
まさに2人の「交感」が生み出した演奏で、エンディングの淡々とした風情も含め
心に残る1曲です。
この他に③My Little Suede Shoes でのぺデルセンの強力なベースも印象的です。
それにしても、このブログで新型コロナに関しては
ずっと似たようなことを言っている気がします。
1年以上前と何が変わったのか・・・。
でも、言い続けないと国民が愚弄されたままになってしまうし、
度重なる我慢もできないでしょう。
医療従事者のみなさんが献身的な働きをしてくれているだけに、
私たちはリーダーのあり方を問い続けなければいけません。

