ラグビーW杯で日本代表が優勝候補のアイルランドに勝つという
大金星を挙げました。
この試合、日本は後半の最初までリードを許していました。
しかし、田村選手が着実にペナルティゴールで得点を重ね、
後半の福岡選手のトライで逆転。
その後も追加点を挙げて逃げ切りました。
試合をテレビ観戦して印象的だったのは、
日本のスクラムの強さと素早いパス回しでした。
いま50歳の私が子どもだった頃、日本のラグビーと言えば
パスはなかなか回さない、ボールはすぐに落としてしまう、
スクラムを組めば相手国のパワーに押し切られてしまう・・・
といった「いいことなし」の印象でした。
正直、「どうして日本が勝ち目のないパワー・スポーツをやっているのか」
と思ったこともあります。
今回、ペナルティゴールを重ねて得点したことからも分かるように、
日本らしい正確さとチームワークを磨いた結果があるのでしょう。
有力な外国人選手・指導者が定着した「異文化融合」も大きいのかもしれません。
今後の大会の行方に目が離せない結果となりました。
歴史的な試合でしたが、観戦で困ったこともありました。
にわかファンには「ルールが分からない」のです。
テレビの字幕で出てくるルールで多少イメージは持てるのですが、
「なぜここでプレーがストップするのか」
「ボールを持っている選手に後ろからつかみかかっていいのか」
「なぜこのタイミングでキックするのか」
とにかく分からないことばかりでした。
何だかすごいことになっているけど、ルールが分からん・・・。
そんな気分を受けて、今回はジャズ的な要素を持ちつつも
ジャンル不詳の音楽を聴いてみましょう。
エグベルト・ジスモンチ(g)の「Zigzag」です。
エグベルト・ジスモンチは1947年生まれ。
ブラジル・リオデジャネイロ州の出身で、
レバノン人の父とイタリア人の母との間に生まれるという
複雑な出自を持っています。
祖父や叔父が音楽に関わる仕事をしていたこともあり
クラシックピアノなどを学んでいたジスモンチは
やがてギターを独学で学んでいきます。
プロとなり1970年代にパーカッショニストの
ナナ・ヴァスコンセロスと共演する中で、
ブラジル音楽からジャズ・クラシックまでを含む壮大な音楽を
作るようになったジスモンチ。
「もっと多くの音がギターに必要だ」と考え、
8弦や10弦といったギターを手にするようになります。
その奏法についてこんなことを述べています
私が演奏するギターはピアノの技法に基づき、
ピアノで学んだことをギターに取り入れている。
左手と右手の演奏は、それぞれ独立している。
私はピアニスト的な発想のギタリストであり、
伝統的な意味でのギタリストとは違うんだ。
( https://www.arban-mag.com/article/3812 より引用)
こんなところにも「彼のルール」が一聴して分からない背景があるのでしょう。
1995年4月、オスロのレインボー・スタジオで録音。
Egberto Gismonti(10- and 14-string guitars,piano)
Nando Carneiro(guitar,synthesizer)
Zeca Assumpcao(double-bass)
①Zigzag
ギター2本とベースという編成で奏でられるタイトル曲。
冒頭から2本のギターが波のように押し寄せるフレーズを奏で、
どこからがメロディでどこからが即興なのか分からない
不思議な世界に放り込まれます。
この曲はタイトル通り何度も「折れ曲がる」というか
「行き来する」印象を与えます。
ブラジル的な雄大さや野性味を感じさせる一方で、
クラシックの組曲的なやや複雑な構成もあるように思えます。
さらには南米のフォルクローレ的な哀感もあり、
演奏者がどこに自分の「ルール」を持っているのか判断しにくい内容です。
しかし、4分半くらいから躍動的なリズムの中で
シンプルなソロが奏でられ、ジャズ的な要素も見えてくると、
この複雑な「ルール」が混ざり合った世界を素直に
楽しんでみようかという気分になってきます。
細部まで理解せずとも未知の世界を垣間見ることができる、
そんな音楽世界が広がっている曲です。
日本代表は次にサモアと対戦することになります。
10月5日(土)に何が起こるのか。
もう少しルールを勉強してから観戦しようと思いますが、
完全に理解するのは難しいでしょう。
「分からないなりにすごさを感じる」という
ジスモンチの音楽と同様の姿勢で向き合いたいと思います。
