フォア&モア/マイルス・デイヴィス | スロウ・ボートのジャズ日誌

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ジャズを聴き始めて早30年以上。これまで集めてきた作品に改めて耳を傾け、レビューを書いていきたいと考えています。1人のファンとして、作品の歴史的な価値や話題性よりも、どれだけ「聴き応えがあるか」にこだわっていきます。


おとといの26日(金)、民主党と維新の党が3月中に

合流することで正式合意しました。


衆参ダブル選挙の可能性もささやかれる中、

巨大与党に対抗するために合流するというのは

正しい判断だと私は思います。


いま、安倍政権は「やりたい放題」です。

憲法を無効化しようという安保法制、

株価を支えるための「年金資金」のハイリスク運用、

社会保障の充実を先送りする軽減税率の導入・・・。

その一方で国会議員の定数削減には及び腰という体たらくです。


しかし、この状況を作り出した責任は野党にもあります。

野党がいま何を目指しているのか、政権を担うことになったら

何をやるのかがよく分からないからです。

安保法制にしても最近になってようやく対案をまとめていますが、

「遅い!」というのが正直なところでしょう。


去年夏の国会で、与党とは違う安全保障のビジョンを示していれば

国民の野党に対する印象も大きく変わっていたはずです。

特に民主党には一度政権を担当してしまったがゆえの

「アメリカへの遠慮」や「現実路線」があるのでしょう。


しかし、憲法違反の指摘を無視して進む与党に対して、

せっかく手にしたはずの「現実感覚」と理念のバランスを取って

自分の党をまとめていかなければ、国民が背を向けるのは当然です。

岡田代表が言うように、戦後の平和主義を大切にしようというなら、

民主党は自分たちがやるべきことを具体化する努力が

まだまだ足りないのではないかと思います。


もっと野党には「本気」になってほしい。

そんな願いを込めつつ、ここは「本気」で染め上げられたジャズを聴きましょう。

マイルス・デイヴィス(tp)の「フォア・アンド・モア」です。


ジャズ史に残る傑作なので、いまさら多くの説明は必要ないでしょう。

それでも特筆したいのは、ライブ録音でありながらどこまでも

「ピリッ」としている音楽だということです。

バンドのメンバーが一定しなかった時期を経て、

マイルスが新しいクインテットを結成してから9か月後の録音です。

新しいパワフルなスタイルが軌道に乗ってきたことに伴うテンションの高さ。

そして、お互いが一切の妥協を許していなかった姿勢がビンビンと伝わってきます。


1964年2月12日、NYフィルハーモニック・ホールでの録音。


Miles Davis(tp)

George Coleman(ts)

Herbie Hancock(p)

Ron Carter(b)

Tony Williams(ds)


①So What

テンポの速いベースとピアノによるイントロと、

それに続くホーンのコール・アンド・レスポンスから異常なテンションを感じます。

最初のソロはマイルスですが、とても攻撃的な姿勢に驚かされます。

火を吹くようなという形容も大げさではないほど、

高音を駆使した激しいブロウが続くのです。

しかも、そこに反応してトニー・ウィリアムズが爆発的なシンバルを轟かせるので、

強烈な印象はいやがうえにも高まります。

ソロ全体としては波が満ち引くように強弱があるので、

その巧みさにも圧倒されて相当長く感じます。

しかし、経過時間を見てみると冒頭からマイルスのソロが終わるまで3分もかかっていません。

それだけ中身が濃い内容です。

マイルスの後はジョージ・コールマンのテナー。

モードを完全に消化し、熱気がこもりつつもクールさを保ったプレイをしています。

コールマンの評価は後にクインテットに加わるウェイン・ショーターほど高くないようですが、

この安定感はバンドのバランスを保つ上で良かったのではないかと私は思います。

続いてのハービーのソロも素晴らしい。

最初は音数を絞っていますが、次第に強いタッチに転じていきます。

聞かせどころはメロディに戻る前のトニーとの息の合い方。

ピアノがすっと音数を減らすとドラムも直ちにペースを落として緊張感を緩め、

メロディにスムーズにつないでいきます。

バンド全体が呼吸しているかのような演奏に聴衆は息を呑むばかりです。


⑤Seven Steps To Heaven

①と比べるとメロディの影響もあるのか、かなりリラックスした雰囲気が感じられます。

それでも隙は全くなく、マイルスのソロは細かなパッセージをつないで

短いながらビシッと決めています。

特筆すべきはこれを受けたトニーのソロ。

音数は少ないのですが、新しい感覚でスイングしています。

バスドラムは極力使わず、スネアとシンバルで静かに、

しかし空間を「回す」ように巧みにスイングするのです。

この時彼はまだ18歳だったはずですが、驚異的な「設計能力」に圧倒されます。

続くテナー~ピアノのソロでもバックでテンポを次々に変えるリズム隊の変幻自在さに

聴衆が熱い拍手を送っています。


マイルスのバンドも最初から順風満帆とはいかず、

試行錯誤の末にようやくスタイルが固まったことを考えると

日本の野党にもがんばってほしいと思います。

とりあえず「野合」であっても本当に真剣に自分たちがやるべきことを決めれば

多少の混乱はあっても道は開けるはずですから。



安倍首相には祖父の岸信介から受け継がれた憲法改正への執念があります。

安倍首相は祖父ほどの大物ではないと私は思いますが、

その「本気度」が高いことは認めざるを得ません。

まずは相手を認めて自分も本気になること。

それが野党に求められています。