
2012年があっという間に終わろうとしています。
あの震災から1年を迎えたのが3月。
「変化が続く」年になってほしいという願いを持っていましたが、
先日の衆院選以降の状況を見ていると、
時間が逆戻りしているかのような気がしてしまいます。
エネルギーの「ベストミックス」を探るという言葉の裏で
着実に進められようとしている原発の再稼働・新設。
金融の緩和で「全体が豊かになる」という経済政策。
わずか数年前、この政策で企業に金が回ったものの、
労働者には行き渡らないという現象が起こったことを、
政治家は忘れてしまったのでしょうか・・・。
そして、一応「触れられる」のですが、
新しい取り組みが行われそうな気配がない「震災の復興」。
「重点を置くもの」が決定的に変わってきているという印象があります。
しかし、どこかでまた「揺り戻し」があるでしょう。
自民党の勝利も「民主党を罰したい」という気分と
「安心感が欲しい」という欲求によるところが大きいはずです。
自民党政権が行き過ぎたことを進めれば、
必ずその流れを押しとどめる動きが出てきます。
こうした「時代の揺れ」の中で私たちは自分が願う方向性を
探っていくしかないのでしょう。
私自身は「人に優しい社会」というものが実現されるように、
微力ながらできることをしたいと思います。
今年の最後に、「優しい気持ち」になれる作品をご紹介したいと思います。
グンナール・ベリィステーン(bs)の「ザ・グッド・ライフ」です。
グンナール・ベリィステーンはマイナーな存在なので説明を。
1945年、スウェーデンに生まれた彼は、
60年代から演奏活動を開始しています。
トランペッターのロルフ・エリクソンや
トロンボーンのエイエ・テリンなどのグループで活躍しましたが、
長らくリーダー・アルバムを制作する機会に恵まれませんでした。
しかし、1995年に「ザ・グッド・ライフ」を吹き込んだことで、
評価が大きくあがり、活動の幅が広がったそうです。
バリトンでありながら、重々しくなく、温かい響きがあるプレイ。
このアルバムはスタンダードやシャンソンから選ばれた曲も素晴らしく、
冬の夜長にふさわしい秀作です。
1995年録音。
Gunnar Bergsten(bs)
Peter Nordahl(p)
Patrick Boman(b)
Rune Carlsson(ds)
①Lover Man
アルバム全体の雰囲気をよく伝える一曲。
よく知られたスタンダードを、ベリィステーンは
非常にゆっくり、じっくりと歌い上げます。
いさぎよく「じっくり」吹かれるメロディを聴くだけで、
彼がいかにこの曲に思いを寄せているかが伝わってきます。
そして、リズムのテンポがあがっても、決して急がないソロに入ると、
彼の「揺るがなさ」にこちらもどっぷり浸かってしまいます。
安心して温かい気持ちになれるプレイ・・・
そんなリーダーに、ピアノのピーター・ノーダールも
リリカルなソロで応え、忘れられないトラックになっています。
⑨The Good Life
ジョン・ルイス(p)との共演経歴もあるフランス人ギタリスト、
サッチャ・ディステルによって書かれた曲。
ノーダールの美しいピアノのイントロからベリィステーンのメロディへ。
①と同様、極めてストレートでスローな演奏です。
この曲の歌詞を大胆に要約すると、こんな感じです。
「一人で自由気ままな人生はいいよね。
でも、何をするのでも一人では心が痛まないか・・・」
最終的には「そんな君には僕がいるじゃないか」という
あざとい(?)部分がある歌詞なのですが、
「共に歩もう」というメッセージがあるのは間違いありません。
そんな歌詞を受けてか、ベリィステーンは特に二度目のソロで
軽快でユーモアのある表情を見せてくれます。
何が「グッドライフ」か?
これから、「自立」や「自助」という言葉が為政者から
ひんぱんに発せられそうです。
でも、人は助け合った方が楽しいんじゃないでしょうか?
そんな思いを持ちながら、年越しを迎えたいと思います。
みなさんもよいお年を。