オウム真理教の高橋克也容疑者(54)が
逃走を続けています。
菊地直子容疑者の逮捕に続き、
高橋容疑者の目撃情報が出てきた頃から、
逮捕は時間の問題ではないかと思っていました。
特に、今月5日(火)以降は高橋容疑者の
最近の画像が次々に公開されています。
そんな不利な状況の中でも
逃走をやめない高橋容疑者。
その粘り強さには驚いてしまいます。
感心している場合ではないのですが・・・
今回の逃走劇を通じて見えてきたのは、
「防犯カメラ」の威力です。
信用金庫の窓口や勤務先の事務所、コンビニ・・・
よくまあ、これだけ集まるものだというぐらい
カメラで撮影された画像が出てきました。
一昔前、「監視社会」という言葉があり、
そこで想定されていたのは「権力による監視」でした。
ジョージ・オーウェルという作家が
近未来を描いた傑作「1984年」(発表は1949年)。
ここでは、「双方向テレビ」で一般人の生活が
当局から常に監視されています。
屋内・屋外を問わない厳しい監視が、
国民から私生活を奪っているという設定です。
いま、権力がこうした行為を行おうとすれば、
法を根拠に国民が規制を求めることができるでしょう。
しかし、防犯のために民間が
せっせとカメラを設置している状況では
規制のしようがありません。
しかも、実際に犯人の逮捕に役立つのであれば、
民間から警察への画像提供も増えることでしょう。
「民間による監視社会の登場」、なのでしょうか?
その功罪については簡単に総括できそうもありません。
しかし、町にカメラがあふれ、
「いつ撮られているか分からない」という状況が
新たなストレスを生むことは間違いないでしょう。
それにしても、これほどの精緻な監視網を
高橋容疑者はどのようにしてかいくぐっているのでしょうか?
唐突に聞こえるかもしれませんが、
私は「地下にいる」と思っています。
このアイデアは私のオリジナルではなく、
監視社会を扱った伊坂幸太郎さんの小説
「ゴールデンスランバー」からいただいたものです。
詳しくは小説を読んでもらいたいのですが、
主人公が警察から逃れる際、監視が厳しい地上を避けて
下水道を利用しています。
監視が行き届かない場所は「地下」にしかない・・・?
そんなことを考えていたら、「地下への入り口」に
ロッキー・ボイド(ts)が佇むジャケットが印象的な
「イーズ・イット」を聴きたくなりました。
ロッキー・ボイドは、かなりマイナーなミュージシャン。
1936年にボストンに生まれ、バークリー音楽院などで
学んだそうですから、基礎はしっかりしているのでしょう。
1958年にNYに進出し、59年から60年にかけて
マックス・ローチ(ds)のクインテットに参加しました。
英文のライナーを読むと、
将来をかなり期待されていたボイド。
しかし、このリーダー・アルバム1枚を残して
ジャズ界から消えてしまいました。
音楽的な挫折というよりは
私生活上の事情が大きかったようです。
アルバムの内容は、50年代から60年代への
移り変わりをとらえたものとなっています。
正統的なハード・バップあり、モーダルな曲想ありと
時代の息吹が伝わってきます。
これだけの才能が伸びていかなかったのは
本当にもったいない・・・・
先輩のケニー・ドーハム(tp)もいいプレイを
しています。
1961年3月13日、NYでの録音。
Rocky Boyd(ts)
Kenny Dorham(tp)
Ron Carter(b)
Pete La Roca(ds)
Walter Bishop Jr.(p)
②Stella By Starlight
おなじみのスタンダード。
メロディをストレートにボイドが吹いています。
スロー・テンポでも揺らぐことなく、
ややコルトレーンよりの硬質な音色で
吹ききる様はなかなかのもの。
「ハードボイルドなテナー」と言っていいでしょう。
メロディを受けて、ドーハムが登場。
ソロかと思いきや、こちらもメロディをやや崩しながら
リフレインしていきます。
そして、再びボイドによるメロディへ。
そう、二つのホーンがメロディに専念するという
珍しいトラックなのです!
曲に対する2人のホーン奏者の
「愛」が伝わってきます。
④Ease It
ポール・チェンバース(b)作曲のブルース。
非常にリラックスした雰囲気のあるトラックです。
テーマが奏でられた後、ドーハムのソロへ。
彼らしい、ツボが押さえられた渋いソロです。
強烈な高音ヒットもなく、超絶技巧もありませんが、
それぞれのフレーズがよく歌っており、
思わず耳を傾けてしまいます。
こういう「玄人芸」、いまはなかなかありませんねぇ。
続くボイドのソロも落ち着いたトーン。
コルトレーンっぽい節回しながら、
ドーハムに影響されたのか、まくし立てることはありません。
テクニックよりエモーションを重視した、
ソウルフルな演奏が続きます。
そして、ウォルター・ビショップ・ジュニアが登場。
彼らしい力の入ったゴリゴリしたプレイが
一気にバンドを「黒く」していきます。
もうちょっと長く聴きたかったような・・・・
ジャズ界の中で、その名が「地下に埋もれて」しまった
ロッキー・ボイド。
しかし、「幻の名盤」探しの動きもあり、
今では彼の存在に光が当たるようになりました。
果たして、高橋容疑者の居場所にも「光が当てられる」
日が来るのでしょうか。
地下に潜伏していないのだとしたら、
どんな手段を講じているのか、気になるところです。
